■「ひざから崩れ落ちるような感じ」

 マグニチュード9.0の地震が襲った直後、町の銀行で働いていた祐子さんと同僚たちは屋上へ避難した。迫りくる津波に備えたのだ。祐子さんはこの屋上から夫に最後のメールを送った。

「ちょうど(津波が)女川の岸壁を越え始めたときだった。そこから数分のうちに屋上まで達したと思う」と、高松さんは言う。

「銀行の職場の人たちと一緒だからまあ心配ないんだろうなとは思っていた。連絡とれないのはちょっと気になっていたが」

 津波がきたとき、高松さんは義母と一緒に隣町の病院にいた。すぐに女川に戻ることは許されなかった。漁船や車がひっくり返り、水面に浮くガソリンが燃え盛る壊滅した町に立ち入ることはできなかった。

 翌日、立ち入り禁止が解除されると、高松さんは女川の高台にある病院に急いだ。地震の際の避難場所に指定されていた場所だ。

 高松さんはそこで、銀行で働いていた人たちも津波にのまれたと聞かされた。「ひざから崩れ落ちるような、力が入らなくなるような感じだった」