【12月9日 AFP】米国の元陸上選手、ジェシー・オーエンス(Jesse Owens)氏が1936年のベルリン五輪で獲得した4個の金メダルのうち、競売にかけられていた1つが8日、五輪の記念品としては史上最高額となる146万6574ドル(約1億5100万円)で落札された。

 これまでは、最初の近代五輪である1896年大会のマラソンで優勝選手に与えられた銀のカップが、2012年4月に86万5000ドル(約8900万円)で落札されていたのが最高だったが、今回、米カリフォルニア(California)州ラグーナ・ニゲル(Laguna Niguel)にオークションハウスを構えるSCPオークション(SCP Auctions)が発表した金メダルの落札価格は、これを上回った。

 また、米国の五輪関連の品としては、「氷上の奇跡」と言われる試合で、アイスホッケー米国代表主将のマイク・エルジオーニ(Mike Eruzione)氏がまとっていたユニホームが、2013年2月に65万7250ドル(約6800万円)で落札されていたのが最高だったが、こちらも上回った。

 今回のオークションでは、1000点以上のスポーツ関連の記念品が出品され、総額450万ドル(約4億6000万円)近い金額を集めた。

 ナチス・ドイツ(Nazi)の総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)がアーリア人種の優位性を証明しようとしたベルリン五輪で、アフリカ系米国人であるオーエンス氏は、男子100メートル、200メートル、4×100メートルリレー、走り幅跳びを制した。

 今回オークションで落札されたメダルがどの種目のものであるかは明らかになっていないが、メダルはオーエンス氏から友人でエンターテイナーのビル・ボージャングル・ロビンソン(Bill "Bojangles" Robinson)氏に渡ったもので、ロビンソン氏は、五輪での伝説的な活躍から数年がたち、仕事を探していたオーエンス氏の手助けをしたことでメダルを譲り受けた。

 そのメダルが今回、ロビンソン氏の妻であるエレイン・プレインズ・ロビンソン(Elaine Plaines-Robinson)さんの遺産の中から、オークションハウスの手に渡っていた。

 SCPオークションは、落札者は現時点で氏名の公表を望んでいないとコメントした。メダルの落札額の一部は「ジェシー・オーエンス基金(Jesse Owens Foundation)」に寄付される。

 その他に高額で落札されたのは、元大リーガーのジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)氏が、ナ・リーグ最優秀選手(MVP)に輝いた歴史的な1949年シーズンと1955年のワールドシリーズで使用していたバットで、それぞれ18万3500ドル(約1900万円)と12万8617ドル(約1320万円)の値がついた。また、ロビンソン氏の単独のサインが入ったボールは10万4765ドル(約1080万円)で落札された。

 また、ボクシングのモハメド・アリ(Muhammad Ali)対ジミー・ヤング(Jimmy Young)戦で使用されたリングローブは6万667ドル(約625万円)で、元バスケットボール選手のウィルト・チェンバレン(Wilt Chamberlain)氏が、1960年代のロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)時代に使用したロードのユニホームも同等額で落札された。(c)AFP