【10月30日 AFP】ベトナム、ハノイ(Hanoi)で29日に予定されていた日中首脳会談は、中国側が、日本が事実と異なるコメントを発したと述べ、先送りとなった。

 ハノイでは、日中首脳会談が開かれるかどうかに各国の注目が集まっていた。

 30日には東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国と日本、中国、インド、韓国、オーストラリア、ニュージーランドの6か国の首脳が参加する東アジアサミット(East Asia Summit)が、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官と、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相も招待され、開かれる。

 29日の日中外相会議後、前原誠司(Seiji Maehara)外相は、戦略的互恵関係の進展で合意し、「(首脳会談は)おそらくハノイで開かれることになるだろう」と述べ、首脳会談が実現する見通しが高まっていた。

 しかし、その後、日本側の代表団は、首脳会談の開催を発表した直後に撤回し、混乱が生じていた。

 中国の胡正躍(Hu Zhengyue)外務次官補は、非常に厳しい口調で日本の態度を非難。尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)について「日本の外交当局責任者がほかの国と一緒になって釣魚島問題を再燃させた」と述べ、「中国の主権と領土保全を侵犯」するコメントを発したと非難した。

 胡外務次官補は、「日本の行動は、誰にとっても明白に、両国指導者の会談に必要な雰囲気を壊した。責任は日本側がすべて負うべきだ」と述べた。

 さらに中国は、クリントン米国務長官が尖閣諸島について日米安全保障条約の対象になると発言したことにも強く反発。中国外務省の馬朝旭(Ma Zhaoxu)報道局長は、同省ウェブサイトに「中国政府と人民は釣魚島が日米安保条約の適用対象であるという発言や行動は絶対に受け入れない」との声明を掲載した。

 米国は、日中に対立を緩和して首脳会談を開催するよう呼び掛けている。(c)AFP

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