【9月27日 AFP】北朝鮮の景勝地、金剛山(Mount Kumgang)で26日、朝鮮戦争などで韓国と北朝鮮に別れて暮らしている離散家族が再会した。

 離散家族の再会は約2年ぶり。同日、韓国から97人が金剛山に入った。離散家族は高齢化が進んでおり90代の人が8人、80代の人は52人だった。今回は韓国から100人が参加する予定だったが、健康上の理由から3人が直前に参加を取りやめた。

 97人は26日から3日間の日程で北朝鮮に暮らす240人の親族と面会する。

■「感情に圧倒されて涙も出ない」

 韓国のテレビは、感情の高ぶりで言葉も出ず、涙を流して固く抱き合う家族たちの姿を放送した。

 ある83歳の女性は、涙を流しながら、朝鮮戦争で生き別れになった娘に「たった3歳のあなたを置き去りにしてごめんなさい。私はずっと苦しんできました」と言った。娘は「お母さん泣かないで。私はこちらで元気にやっています」とやさしく語りかけた。

 朝鮮戦争で戦死したとされていたが最近になって北朝鮮で生存していることが分かった男性(79)は、自分は親孝行できなかったが、両親に会いたくて仕方がなかったと述べた。韓国に暮らす兄弟から両親が亡くなったことを聞かされると「感情に圧倒されて涙も出ない」と語った。

 1987年にほかの11人の乗組員とともに北朝鮮に拿捕された漁船の乗組員は、会いたかったと話す姉(50)に、北に行った後、北朝鮮政府は大学にまで行かせてくれて、今は平壌(Pyongyang)で良い仕事に就いていると話した。

■29日から第2陣

 9月29日から10月1日にかけては、再会の第2陣として北朝鮮の99人が韓国に暮らす449人の親族と再会する予定。

 離散家族の再会事業は2000年の初の南北首脳会談で両国の緊張が緩和したことを受けて再開された。これまでに1万6000人以上が親族と直接会い、約3200人がテレビ電話で再開を果たしている。

 韓国だけで約60万人の離散家族が存在すると考えられている。(c)AFP/Park Chan-Kyong