【2月5日 AFP】米ワシントンD.C.(Washington D.C.)の裁判所で4日、創立100年以上の歴史を持つ米サーカス団「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス(Ringling Bros. and Barnum & Bailey Circus)」が、サーカスの象を虐待したとして訴えられている裁判が行われ、原告、弁護側の双方が主張を戦わせた。

 裁判は、リングリング・サーカスがショーに出演させているゾウを先のとがった手鉤(かぎ)で調教したり、鎖で繋ぐなど虐待していたとして、同サーカス団の元団員や動物愛護活動団体の米国動物虐待防止協会(American Society for the Prevention of Cruelty to AnimalsASPCA)や動物福祉協会(Animal Welfare InstituteAWI)が8年前、サーカス団と親会社のフェルド・エンターテインメント(Feld Entertainment)を訴えていた。

 原告側のキャサリン・マイヤー(Katherine Meyer)弁護士は、実際にゾウを繋いだとされる鎖を法廷に持参し、サーカス団は絶滅危ぐ種に指定されているアジアゾウに、手鉤(かぎ)を使って体罰を加えたり、鎖で繋ぐなどの虐待を日常的に行っていたと主張。さらに、全米公演の際にゾウらに長時間の長距離移動を強いていると、サーカス団とフェルド・エンターテインメントを非難した。

 マイヤー弁護士によると、ゾウたちは移動の間、24時間以上鎖に繋がれ、自分の出した排泄物の中に立っていなければならないという。

 一方、サーカス団側のジョン・シンプソン(John Simpson)弁護士は、訴訟は同サーカス団に対する脅迫に等しいと反論。リングリング・サーカスは、100年以上にわたってゾウのショーを続け、アフリカで本物のゾウを見る機会のない人びとを楽しませてきたとして、サーカス団を弁護した。手鉤の使用についても、「ゾウの調教への使用は一般的だ」と主張した。

 リングリング・サーカスは、米国で19世紀に7人の兄弟が創立。ゾウのショーが大評判となり、人気サーカス団に成長した。

 裁判日程は3週間が見込まれている。(c)AFP