【6月9日 AFP】フランス・トルコの地震学者による合同研究チームは5日、「超せん断地震(supershear)」と呼ばれる、発生頻度はまれだが破壊力の極めて高い地震の衝撃度に関する研究報告を発表した。

 超せん断地震は、時速2万1600キロ(音速の約18倍)まで達する破壊速度で断層に沿って亀裂を走らせ、周辺の建物にただちに甚大な損傷を与えうる。

 頻繁に発生するわけではないが、直線断層でのみ起こるという特徴を備えているため、ちょうど自動車が曲線では減速し直線では増速するように、障害物にぶつかることなく衝撃波を拡散させる。 

 ちなみに、5月12日に中国南西部を襲った四川大地震はこの超せん断地震ではなく、プレート間の圧縮が原因で発生する一般的な地震だ。

 研究チームを率いるフランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)のMichel Bouchon氏と、イスタンブール(Istanbul)にある地震研究所のHayrullah Karabulut氏は今回、1999年にトルコ北西部を3か月の間に2度にわたって襲った超せん断地震を研究対象に選んだ。

 同時に、2001年にチベットで発生したマグニチュード7.9、425キロという史上最大の地表断層を記録した大地震、ならびに2002年に米国アラスカ州(Alaska)で起きた超せん断地震を比較対象とした。

 その結果、超せん断地震では、予想外の場所で余震が発生していることも明らかになった。

 破壊速度が遅い通常の地震では、余震は断層面に沿って発生する。ところが超せん断地震では、隣接する二次的な断層や、強烈な衝撃波により目覚めた「古い」断層に沿って余震が起きていた。

 AFPのインタビューに応じたBoushon氏は、超せん断地震後に余震発生地帯を予測することで多くの人命を救えるだろうとしながらも、超せん断地震そのものの発生場所の予測については「さらなる研究が必要だ」と強調した。

 研究報告は、5日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載されている。(c)AFP