<菅付雅信:新連載「ライフスタイル・フォー・セール」>第三回:雑誌はますますライフスタイル・メディアになる
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【9月2日 MODE PRESS】この1~2年、多くの雑誌がファッションやカルチャーを基軸にするというよりも、ライフスタイル全般について広く取り上げるようになってきた潮流が見える。
■ライフスタイル化する雑誌
2012年6月号にリニューアルをしたマガジンハウスの『ポパイ』が好調で、部数、広告共に大きく伸び、2013年3月15日発表の「雑誌大賞」の準グランプリを獲得した。それまでのファッション、特にラグジュアリーをメインにした方向性から大きく方向転換し、もっと地に足の着いたカジュアルな装いを軸に飲食や旅、読書など、創刊時の『ポパイ』が掲げていた“シティボーイ”という概念を今のライフスタイル全般に提案しているのが、リニューアル後の同誌の特徴だ。
ストリートファッション・マーケティング・ウェブマガジンの『WEBアクロス』の高野公三子編集長は、シティボーイたちに見られるような“ライフスタイル>ファッション”という価値観を持った人々のことを“ライフスタイル系”と呼ぶ。彼らは東京をはじめ日本の都市部で着々と増えているという。
『WEBアクロス』の記事「『シティボーイ2013』台頭のなぞを解く。」(2013年3月22日)によると、彼らの傾向は、「分かる人にしか分からない限定商品や定番ブランド同士のコラボ商品などを好み、近年は紙媒体からネット媒体にシフト。デジタルガジェットへの関心が高い一方で、食べ物や住まい、メード・イン・ジャパンのご当地ものへの関心も高い」。 “シティボーイ”にとって、ブランドやクオリティにこだわる『自分視点』のスタイルが消費行動の中心になっているという。そして、彼らのトレンドを支えるのは、さらに上の世代である30代~50代のプロフェッショナルだ。
「(1)表面的なトレンドをただ消費するのではなく、(2)ファッションに限らず、さまざまなカルチャーへの造詣を深め、(3)自分自身のこだわりを見つけ、(4)自分なりの着こなし、ライフスタイルを楽しむ」
20代から50代までの4世代にまたがったシティボーイのなかで、このような風潮が高まりつつあると、この記事は述べている。
※参考資料その1:http://www.web-across.com/todays/cnsa9a00000adhd6.html?ra=1
またカルチャー・マガジンの『EYESCREAM」(アイスクリーム)は創刊9周年となる今年、大胆なリニューアルを行った。その第一号目となる2013年5月号のテーマは「New Life Creatorリアルライフを創る人々」。特集の扉では、ライフスタイルに対する人々の意識の変化について以下のように述べている。 「価値観の多様化やテクノロジーの進化がより一層進むなか、出来ることや選択肢の幅が広がっていくにつれて、人々の“気持ちいい暮らし”に対する意識はさらに研ぎすまされてきているようだ。そうした気運にあって、当然ながら現在へとアップデイトされた新しいライフスタイル像が求められているといえるだろう」。
特集では“地に足のついた生活”や“心と身体に優しい食事”といったリアルライフを創りあげる人々、いわゆる“ニューライフクリエイター”達を取り上げている。カルチャーそのものに焦点をあててきた同誌が、リニューアルによって新しい生活について語る媒体へと変化したのである。
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