【MODE PRESS 12月17日】最近、レストランの予約がなかなか取れないと思ったら、いつの間にか12月も半ば。街はすっかりクリスマス&年末ムードに包まれ、飲食店も活気づいています。レストランが賑わっているのは、喜ばしい状況ではあるのですが、この時期は友達や先輩と軽く食事をするにも、席を確保するのに一苦労。いったいこの2週間で何軒に振られたことでしょうか。

■二時間二部制の原則

 そして、12月22日~23日頃から多くのレストランはゲスト同様、いよいよ臨戦態勢にはいります。メニューを「クリスマスディナー特別コース」一本に絞り、“二部制&ニ時間制”という、大忙しのプランを展開します。そんな慌ただしいディナーでさえも、人気店は一瞬のうちに埋まってしまうのだから、「どの店にしよう」などと迷っている暇はありません。一刻も早く候補店を決め、すぐさま予約を入れる必要があります。この時期にお目当ての席を訪れるためには、素早い判断力と迅速な行動力が問われるのです。

■癒され和食のススメ

 さて、そんな予約合戦に乗り遅れたのんびりチームが路頭に彷徨ってしまう前に……ここであえて、「和食店」の訪問をオススメしたいと思います。殆どのフレンチレストランやイタリアンレストランがクリスマス商戦一色なのに対し、和食店は至ってクール。通常と変わらぬ設えと心意気で我々を迎え、ゆったり淡々と食事を提供してくれます。年末商戦の様々な波に翻弄され続けてきたゲストも、ようやくここで一息つき、体に染み入る出汁の旨みを我に返って堪能することができるわけです。

 そうと決まればいざ、店選び。都内には星の数ほど和食店がありますが、せっかくの聖夜(?)ですから、都会の喧騒を忘れさせてくれる、ひっそりした場所に足をのばしてみるのもいいかもしれません。というワケで、クリスマスだからこそ訪問したい心安らぐ和食店を、幾つかこっそりご紹介しましょう。

■遠出してでも食べたい、鯛茶漬け―― まき村(大森)

 まずは、大森海岸駅からほど近い和食店『まき村』から。「こんなところに飲食店があるの?」と心配になってしまうような、ひっそりとした路地裏に佇んでいます。清潔感のあるエントランスをくぐると、白漆喰を基調としたシンプルで落ち着いた空間が広がり、そこで季節感あふれる滋味深いコースを堪能できます。沢山の小鉢がずらり並んだ先付もお椀も焼物も、其々みな味わい深いのですが、一番のオススメは〆に出てくる名物「鯛茶漬け」。炊き立ての白飯に胡麻ダレを合わせた鯛のお刺身をのせ、まずはそのまま、ふっくらごはんと新鮮な鯛の食感を味わいます。次にお出汁をかけると……鯛の上品な旨みと胡麻のコクと香ばしさがいっしょくたになり艶やかなごはんと融合します。その印象深いお食事に加え、女将さんのお人柄が滲み出た笑顔とおもてなしを頂戴すると、もはや至福の境地。必ずやほっこり温かい気持ちで店を後にすることができるはずです。

■パフォーマンス付、ふぐコース―― 高瀬(代々木)

 さて、お次は代々木駅からほど近い和食店『高瀬』をご紹介しましょう。駅近なのにもかかわらず、こちらもひっそり閑とした場所に位置しています。同店では、今が美味しいふぐを味わい尽くす「ふぐのコース」がオススメ。ちょっと贅沢ではありますが、店主の高瀬さんは一見さんでも必ずや温かく迎えてくれますし、明瞭会計ですから安心してフグ三昧コースを堪能できます。そして有難いのは、女子が喜ぶポイントをおさえていらっしゃるところ。食前酒にサラっとロゼシャンパーニュをオススメしてくださるのは、粋な高瀬さんならではの計らいです。食中酒には、炙ったふぐのヒレから旨みを抽出させた「ふぐのひれ酒」をオーダーしてみてください。お酒を注ぐ際、アルコールにパッと火を点すパフォーマンスがまた一興!味わい深い料理はもちろんのこと、エンターテイメント性も高いところが、同店ならではの魅力です。

■心と体にやさしい、デトックス和食―― 小町(白金台)

 そして最後にご紹介したいのが……白金台の小さな戸建ての和食店『小町』。夫婦で切り盛りされていて、奥様がカウンター越しの厨房で腕を振るってくれます。供されるのは、忘年会続きで疲れた胃袋を癒してくれる優しく繊細な料理の数々。食材はもちろん、調味料や調理法にまで彼女の長年の知恵とこだわりが詰まっていて、口にすると体がスッと浄化されるような感覚になるから不思議です。真骨頂は、スペシャリテの「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」。フレンチでよく登場するメニューではありますが、バターを一切つかわず、時間をかけてゆっくり煮込んだヘルシーで滋味深い逸品は、同店のコースにキレイに馴染みます。これを食したら、必ずや気持ちが和み、緊張気味の心も緩むことでしょう。ご主人である洋一さんの愉しいサービスも相まって、心が元気になること請け合いです。

 以上、3軒ご紹介させていただきましたが、気になるお店は見つかりましたか?大切な人と過ごす貴重な時間、せっかくですからゆったりした気分で、この時期ならではの「極上和食」を堪能してみてはいかがでしょうか。【瀬川あずさ】