<インタビュー>ヒュンメル オーナー、クリスチャン・スタディール氏
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【11月16日 MODE PRESS】デンマークの老舗スポーツブランド「ヒュンメル(hummel)」がヨーロッパで急成長している。日本では総合スポーツ用品を取り扱うエスエスケイ(SSK)がオリジナルラインの販売に加えて、ライセンスライン「H」の展開を開始するなどこれまで以上に、スタイリッシュでファッション感度の高い人々に向けたブランド発信に取り組んでいる。世界で最も歴史が長いスポーツブランドでもある「ヒュンメル」を保有する「THORNICO」グループでオーナーを務めるクリスチャン・スタディール (Christian Stadil)に現在のヒュンメルについて、さらには日本市場について話を聞いた。
■組織哲学として掲げる「カンパニーカルマ」
現在、「THORNICO」では世界で55の会社を保有しており、約4500人の従業員を抱えており、食料や医療、不動産、シッピング(船舶)、そしてファッションとあらゆる分野においてビジネスを展開しています。我々はこの組織をまとめていくにあたって、「カンパニーカルマ」というビジネスフィロソフィーを掲げています。2500年前に仏陀は分子レベルで世界の人々はつながり合っていると言いましたが、それは現在ITや飛行機などさまざま技術の発達により世界とのつながりをより身近に感じることが可能になった。これは決してネガティブなことではなく、素晴らしい考え方だと思います。宗教的な会社でなく、組織哲学として仏教や禅、仏陀の教えを積極的に取り入れています。
■ヒュンメルのミッション
ヒュンメルはスポーツブランドですが、私は「スポーツ」を通して世界は変えられると思っています。世界最貧国として知られているアフリカのシエラオレネ共和国やアフガニスタンのサポートも「スポーツ」を通して積極的に取り組んでいます。昨年の10月には、アフガニスタンのサッカー女子代表選手とNATOの女性兵士の友好試合を開催しました。かつてスポーツをすることが終身刑に問われた国で、女性アスリートたちが自由や仲間とのつながり、平和の歓びを分かち合う姿は、BBCやアルジャジーラを通して世界中に報道されました。それ以外にも、セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)とコラボレーションし商品を販売したり、ペットボトルを再利用したシューズをブラックアイドピーズとコラボレーションしたりしています。このような取り組みをすることで、国境や人種、政治や宗教に関係なく世界が今抱えている問題と向き合い関わることができるのです。
■ヨーロッパで急成長、要因は?
今年の夏、ドイツのお菓子「ハリボー(HARIBO)」とコラボレーションをして3種類の香りがするスニーカーを発売しました。「ハリボー」のくまのグミは世界中で子供から大人まで多くの人々に愛されているお菓子ですが、そのフレーバーとカラーバリエーションを取り入れたスニーカーは、パリでは発売後即完売しました。こういったさまざまな企画や仕掛けを積極的にしていることもあり、その結果ヨーロッパでのビジネスが急成長しています。その要因といえるかどうかわかりませんが、あえて言うならばヒュンメルは他社との違いが大きく4つと思います。
■4つのポイントと重要な価値観
1つ目は、長い歴史。1923年にドイツで生まれた世界で最も歴史のあるスポーツブランドは現在に至るまでの間、常にアクティブな活動をしています。2つ目に、デンマーク特有のクリーンなデザイン。1974年に拠点をドイツからデンマークに移したのですが、北欧ならではのスタイリッシュで無駄のないデザインは他ブランドとの大きな違いです。3つ目はデンマークのメンタリティ。“カンパニーカルマ”を中心とした、企業価値に重きをおいたブランドとして製品を発表し続けています。それぞれにストーリーがあり、ラインナップもバリエーション豊かなこと。4つ目は、フラットで明確な組織構造。所有者(オーナー)が1人なので大規模な他ブランドと比較してよりフレキシブルに動けること。上場していないので為替相場によって会社全体が揺らぐこともなく、大事なことを一人一人と共有できる。どんな価値観をもって世界を変えていけるかという重要性を組織が感じ持っているのか、それが大きなこのブランドの成功においては大きなキーワードです。
■日本の魅力とビジネス
日本はコミュニケーションの取り方が非常に伝統的で社会性に富んでいます。そして、日本人は基本的に「ノー」といわないので、表情で読み取っていかなければいけない。時としてこれはとてもハードルの高い問題でもありますが、真面目で勤勉、そして誠実な姿勢は世界中どこをさがしても日本を超える国はない。SSKとも時間をかけて非常に良い関係を築いています。そんななかで気がついたことは、日本人は、コラボレーションなどを通し概念化した物づくりに特化しているということ。その強みは今後さらに強固となりこれまで以上のものを生み出すであろうし、そんな日本との仕事はとても興味深いです。奥ゆかしい部分を持ちながらも、斬新な発想力や企画力で世界を驚かせる、そんな日本のコントラストにとても魅力を感じています。【岩田奈那】(c)MODE PRESS
■組織哲学として掲げる「カンパニーカルマ」
現在、「THORNICO」では世界で55の会社を保有しており、約4500人の従業員を抱えており、食料や医療、不動産、シッピング(船舶)、そしてファッションとあらゆる分野においてビジネスを展開しています。我々はこの組織をまとめていくにあたって、「カンパニーカルマ」というビジネスフィロソフィーを掲げています。2500年前に仏陀は分子レベルで世界の人々はつながり合っていると言いましたが、それは現在ITや飛行機などさまざま技術の発達により世界とのつながりをより身近に感じることが可能になった。これは決してネガティブなことではなく、素晴らしい考え方だと思います。宗教的な会社でなく、組織哲学として仏教や禅、仏陀の教えを積極的に取り入れています。
■ヒュンメルのミッション
ヒュンメルはスポーツブランドですが、私は「スポーツ」を通して世界は変えられると思っています。世界最貧国として知られているアフリカのシエラオレネ共和国やアフガニスタンのサポートも「スポーツ」を通して積極的に取り組んでいます。昨年の10月には、アフガニスタンのサッカー女子代表選手とNATOの女性兵士の友好試合を開催しました。かつてスポーツをすることが終身刑に問われた国で、女性アスリートたちが自由や仲間とのつながり、平和の歓びを分かち合う姿は、BBCやアルジャジーラを通して世界中に報道されました。それ以外にも、セーブ・ザ・チルドレン(Save the Children)とコラボレーションし商品を販売したり、ペットボトルを再利用したシューズをブラックアイドピーズとコラボレーションしたりしています。このような取り組みをすることで、国境や人種、政治や宗教に関係なく世界が今抱えている問題と向き合い関わることができるのです。
■ヨーロッパで急成長、要因は?
今年の夏、ドイツのお菓子「ハリボー(HARIBO)」とコラボレーションをして3種類の香りがするスニーカーを発売しました。「ハリボー」のくまのグミは世界中で子供から大人まで多くの人々に愛されているお菓子ですが、そのフレーバーとカラーバリエーションを取り入れたスニーカーは、パリでは発売後即完売しました。こういったさまざまな企画や仕掛けを積極的にしていることもあり、その結果ヨーロッパでのビジネスが急成長しています。その要因といえるかどうかわかりませんが、あえて言うならばヒュンメルは他社との違いが大きく4つと思います。
■4つのポイントと重要な価値観
1つ目は、長い歴史。1923年にドイツで生まれた世界で最も歴史のあるスポーツブランドは現在に至るまでの間、常にアクティブな活動をしています。2つ目に、デンマーク特有のクリーンなデザイン。1974年に拠点をドイツからデンマークに移したのですが、北欧ならではのスタイリッシュで無駄のないデザインは他ブランドとの大きな違いです。3つ目はデンマークのメンタリティ。“カンパニーカルマ”を中心とした、企業価値に重きをおいたブランドとして製品を発表し続けています。それぞれにストーリーがあり、ラインナップもバリエーション豊かなこと。4つ目は、フラットで明確な組織構造。所有者(オーナー)が1人なので大規模な他ブランドと比較してよりフレキシブルに動けること。上場していないので為替相場によって会社全体が揺らぐこともなく、大事なことを一人一人と共有できる。どんな価値観をもって世界を変えていけるかという重要性を組織が感じ持っているのか、それが大きなこのブランドの成功においては大きなキーワードです。
■日本の魅力とビジネス
日本はコミュニケーションの取り方が非常に伝統的で社会性に富んでいます。そして、日本人は基本的に「ノー」といわないので、表情で読み取っていかなければいけない。時としてこれはとてもハードルの高い問題でもありますが、真面目で勤勉、そして誠実な姿勢は世界中どこをさがしても日本を超える国はない。SSKとも時間をかけて非常に良い関係を築いています。そんななかで気がついたことは、日本人は、コラボレーションなどを通し概念化した物づくりに特化しているということ。その強みは今後さらに強固となりこれまで以上のものを生み出すであろうし、そんな日本との仕事はとても興味深いです。奥ゆかしい部分を持ちながらも、斬新な発想力や企画力で世界を驚かせる、そんな日本のコントラストにとても魅力を感じています。【岩田奈那】(c)MODE PRESS