【3月26日 NODE PRESS】米ニューヨーク近代美術館(Museum of Modern ArtMoMA)で24日、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の名物フォトグラファー、ビル・カニンガム(Bill Cunningham)を題材にしたドキュメンタリー映画、『Bill Cunningham New York』のプレミア上映会が開催された。

■映画の制作秘話

 リチャード・プレス(Richard Press)監督は、「映画の制作には10年かかった。その中で、ビルへの出演交渉には8年を費やしたよ」とコメント。映画には、カニンガムの3.95ドル(約370円)の朝食、これまでに盗難された28台の自転車、そしてカーネギーホールの慎ましやかな家などが映し出されている。

■多忙なカニンガム

 カニンガムは自身のキャリアの大舞台にもかかわらず、「長居はできないんだ。外に自転車を停めていて、タイムズ紙のために2つのイベントをカバーしに行くよ。ここに寄ったのは、友人たちにチケットが渡っているか確かめるためだよ」と多忙な様子。

 さらに、プロジェクトへの参加を決めた理由について、「タイムズ紙の経営権を持つサルツバーガー(Sulzberger)氏が決めたんだ。彼はとてもいい人だから、彼にはノーと言えないんだよ」と明かし「私はとても内気だから、今夜ここで作品をみる心の準備ができてないけれど、会場に集まってくれた人々を見れて嬉しかったよ」と語った。

 また、映画に登場したアパートについて、「あれはアパートなんかではなくて、箱と呼ぶべきかな。最近やっと引っ越したけれど、この2週間はそれに気をとられてしまったよ。いつも、キッチンやお風呂なんていらないのに!と思っているんだけどね」と話し、次の仕事のために自転車で会場を後にした。
 
■アナ編集長らゲストが続々と来場

 会場には、米「ヴォーグ(VOGUE)」のアナ・ウィンター(Anna Wintour)編集長、ファッション・ジャーナリストのサリー・シンガー(Sally Singer)、デザイナーのレイチェル ロイ(Rachel Roy)、米高級百貨店バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)のジム・ゴールド(Jim Gold)社長兼CEOとリンダ・ファーゴ(Linda Fargo)副社長、モデルのヴェロニカ・ウェッブ(Veronica Webb)らが出席した。モデルのカルメン・デロリフィーチェ(Carmen Dell'Orefice)は、「彼は独自に社会を映し出しているわ。タイムズ紙の人は、ビルにページを与え、それを私たちに見せるべきなのよ」と称賛のコメント。

 この上映会は、MoMAとフィルム・ソサエティ・オブ・リンカーン・センター(Film Society of Lincoln Center)が若手監督の紹介を目的とした映画祭、第39回ニュー・ディレクターズ/ニュー・フィルムズ(The 39th New Directors/New Films)のオープニングを飾ったもので、会場には映画関係者も多数姿を見せた。同映画祭は4月4日まで開催される。(c)Fashion Week Daily/MODE PRESS

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