メンズ美容~その価値観の変遷:第5回「黒or白?男の適正な色とは?」肌色をコントロールする男たち
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【1月31日 MODE PRESS】2013年を迎えた。新しい年は身ぎれいにしたくなるものなのだろう。昨年にもまして、1月から男性美容に関する取材が次から次へとやってくる。そこで今年の男性美容の傾向をお話ししてみようと思う。 ~日焼けを避ける男性が急増~ まずは、男性の美白の関心度がより一層加速しそうだ。美白というと、女性的なイメージがありすぎてあまり適切ではないのだが、適当な言葉がないのでとりあえず、見出しとしては美白としておこうか。つまり、老化の元凶となる日焼けを避け、くすみを払い、血色のよい肌を目指そうとする男性が増えている。これを美白というにはいささか、不具合がある。美肌ともやや違う、健康的な肌としか言いようがないのだが、すぐに言葉に飛びつきたがる人々やマスコミには「美白男子」というキーワードが刺さりやすい。 まあ、そんな言葉の定義はさておき、なぜ今、日焼けの回避なのだろうか? それは日焼けが肌に与える深刻なダメージがどんどん判明してきているから。その証拠に日本化粧品工業連合会は、今春から紫外線A波の指標である“PA”を従来の3段階から4段階へ増やす。現行の最高レベル「+++」の上に「++++」が新設される。 ~紫外線A波による深刻な光老化に気づく男たち~ 最近の研究では、真皮まで届く紫外線A波の方が長期間にわたり、より深刻なダメージを与えることがわかっている。紫外線B波は波長が短くてエネルギーが強いので、赤みや炎症を起こす。しかし、A波は急性の症状は少ないものの、真皮層のDNAを破壊し、ゆっくり、しかし確実に光老化を招く。日焼け止めをあまり使う習慣のない男性は光老化が促進。A波は夏だけではなく冬でもほとんど変わりなく降り注いでいるし、曇りの日も室内でも、侮れない。 ということは、紫外線対策をしないで日常を過ごすこと=積極的に光老化を許すことになる。紫外線を多く浴びると、光老化だけではなく免疫力も低下する。健康を損なう行為を避けるのは、人として当然のことだと思うのだが、いかがだろう? それを日焼け止めを塗っている男性を指して「男らしくない」「美白男子」などと、ややもすると揶揄するような風潮に私はどうもなじめないのだ。 ~男のメイク、ありやなしや?~ そして、話題は180度変わる。それは「化粧男子」の話。今度は積極的に肌の色を整えようとする新勢力(?)が登場してきた。厳密に言うと、そのようなホスト・お兄系と呼ばれる人たちはファンデーションやコンシーラーで肌色を操作していた。かなり以前からジャンポール・ゴルチエが男性用のファンデーションも出していたし、そんなにめずらしいことではない。ただ、それが一般のビジネスマンにもその傾向が見られるのが最近の風潮なのだ。 実際、ビジネスマンをターゲットにしたメイク製品も数は少ないが順調に売れているとか。今まで色をつけるメイクが一般男性にはタブーとされてきた状況において、その基準さえも変わってきているという証左ではないだろうか。もちろん、メイクがこのまま男性に広く浸透するとは私も思ってはいない。ただ、そのように価値観が変化していることを意識するのは大切なことだろう。 ~メイクでピーコック革命は来るのか?~ 先述のように肌のムラを気にする男性がいる。今まではムラと言っても「?」という男性ばかりであったのに、この変化は瞠目すべきである。色をつけないまでも肌の色ムラをなくして、なめらかで健康的な肌に見せたいという欲求は性差を超えて存在する。 象徴的なのが、昨年クリニーク メンから出た男性用の肌のムラにフォーカスした美容液の登場だろう。さらに進んで、眉のマスカラやネイルなどパーツメイクをする男性もいるし、ボビイ ブラウンやNARSといったスタイリッシュなパッケージのメイクブランドのアイテムを好んで使う層もいる。 ここでメイクと呼んでいるものは、アイシャドウや口紅、チークなどカラフルな彩り系の話ではなく、あくまでも肌色を整えるベースメイクについて。これから先、男性が色を顔に取り入れるのか否かはわからない。日本ではほとんど馴染まなかったが、1960年代にファッションでピーコック革命があったようにカラフルなメイクが来るのかもしれない。もし、そうなったとき「いい悪い」や「好き嫌い」という短絡的な判断ではなく、冷静な分析ができるように、私はこれからも男性とメイクの関係について見守って行きたいと思う。【藤村岳】 プロフィール DANBIKEN~男性美容研究所~を主宰する男性美容研究家。 男性の身だしなみの専門家としてテレビ・ラジオの出演や、雑誌・ウェブでの執筆活動を行う。「美しくなるよりも、嫌われない美容」が男性には必要とのモッ トーがあり、やりすぎない男性美容を提案している。 また、男性のためのパーソナルカウンセリングや講演・イベントなども開催。 最近は男性コスメ商品の企画開発、コンサルティングなども行っている。 (c)MODE PRESS 【関連情報】 第1回「なぜ、今、メンズ美容なのか?~肌がビジネスツールになる時」 第2回「スキンケアを始めた理由/やめた理由 男の動機は女次第」 第3回「クサイと言われる恐怖:不快な体臭で人格を否定される!?」 第4回「ヒゲは男のメイク!?」ヒゲの価値観はどう変わってきたのか <インフォメーション> 男性美容研究所 公式サイト<外部サイト>