【1月27日 senken h】アイデアや技術力があっても、リスクを重視するあまり製品化に至らない。そんなパターンを打ち破ったのが、「セック エス」が生み出したレザーウエアだ。革製品には色落ちや色移り、毛羽の付着といった特有のデメリットがあるため、通常1枚では服に使えない。そこで裏地を付けるのが通常だが、それでは重くかさばるうえ品質を改善するものではなかった。「なぜストレスのない1枚仕立てのレザーウエアがないのか」というストレートな思いが、高品質かつ価格を抑えたオリジナルレザーの開発へと駆り立てる。

 初めての試みは05年。ラム革で作ったシャツは、厚みは0.6mmだが分厚くて固く、求めた製品とかけ離れたものとなる。08年に自社ブランド「ロゥタス(RAW+)」を立ち上げてからの再チャレンジで、ヤギ革を使用したこの製法にたどり着いた。両面に銀面(表面)加工を施した皮革の厚みは、過去に例のない0.35~0.4mm。なめした皮革を薄く漉(す)き、染色後に皮革の両面をバフ掛けして滑らかに仕上げた後、特殊加工で圧縮して表面を平滑に整える。その後、服に仕立てるが、縫製仕様、洗いの有無などによって各国の工場を使い分け、最終的に日本で撥水加工をかける。完成したウエアは美しい表面感と驚くべき軽さ、柔らかさが特徴で、しなやかなためレースやジャージーなどの別素材との組み合わせも可能だ。また、仕入れ産地が異なる原皮は同じ釜で染めても色合わせが難しいが、原料の選定や染色技法を突き詰め淡色でも均一に出すことにも成功し、色のレシピを毎シーズン増やしている。ひとつの生地と言えるこの皮革と、それを使用した裏地を必要としない1枚仕立ての服。昨年9月には特許を取得した。

 パリの見本市「トラノイ」に出展後、画期的な新素材と製法に世界中から発注が相次いでいる同社。現在は素材の幅を広げ、レザーの可能性と1枚仕立ての服作りを追求。常識の殻を破ったその目は、世界のマーケットに向けられている。(c)senken h

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特集:senken h 119
<ロゥタス 公式サイト>
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