【11月8日 AFP】日本オリンピック委員会(Japanese Olympic CommitteeJOC)は7日、競泳男子元日本代表の冨田尚弥(Naoya Tomita)が、韓国の仁川(Incheon)で開催された第17回アジア競技大会(17th Asian GamesAsiad)で、報道写真家のカメラを盗んだことをいったんは認めながらも、一転してこれを否定し始めたことについて「驚いている」と明かした。

 25歳の冨田は、プールサイドでカメラを盗んだとして略式起訴され、18か月の登録停止処分を受けた。

 しかし、冨田は6日に記者会見を開き、何者かが自身のバッグにカメラを入れたのだと主張した。

 JOCで国際担当理事を務める中森康弘(Yasuhiro Nakamori)氏は、AFPに対し「もし誰かが自分のかばんに何か入れたとしたら、普通はまず中を調べるでしょう」と話した。

「爆発物や、何か怪しいものの可能性があれば、チームの人に知らせるのが普通だと思います」

 高額なカメラを盗んだといったんは認めたことについて、冨田は、日本に帰れなくなるのが怖かったと話している。

「JOCは監視カメラによる映像で犯行の確証を得た。また、カメラがかばんの中に入れられる様子も写真で確認した」と話す中森氏は、日本側が冨田を見捨てたとする弁護士の主張も一蹴した。

 中森氏は、「日本の当局や大使館のスタッフがサポートしていました」とコメント。仁川(Incheon)で冨田につけられた通訳が、十分な日本語の能力を有していなかったという弁護側の主張も否定した。

「いろいろな言い訳をしていますが、質問されたときに犯行を認めています。また、犯行内容についても詳細に確認した」

「通訳は司法の表現を完全に理解し、JOCのスタッフもサポートしていた。彼の主張に驚いています」

 北島康介(Kosuke Kitajima)の後継者と称され、2010年のアジア大会で金メダルを獲得した冨田だが、事件後に罰金約10万円を支払い釈放されると、チームメートに迷惑をかけたと謝罪していた。

 しかし名古屋市内で開かれた会見で、冨田は「心が弱かった」と語ると、男に腕をつかまれ、バッグにカメラを押し込まれたと主張。

「大したものではないと思った。大きな大会では、選手同士でピンバッジを交換することがよくある。そういう類いのものだと思った」

 中森氏は、処分が軽減されるのは、韓国側が冨田の無実の訴えを認めた場合だけだと話している。(c)AFP