【3月11日 AFP】野生のアフリカゾウは生き延びるために、人間の言語を識別し、脅威と見なしたものから遠ざかる術を身に着けたとする研究論文が10日、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)に発表された。

 論文では、すでに知的な生物として知られるゾウが、人間から危害を加えられることに関してこれまで考えられていた以上に洗練されている可能性を示している。

 地球上で最大の陸上動物であるアフリカゾウ(学名:Loxodonta Africana)は、生息地の減少と象牙を得るための違法な狩りにより、危急種と考えられている。

 研究チームは、ケニアのアンボセリ国立公園(Amboseli National Park)にいるゾウに録音した人間の声を聞かせ、どのような反応を見せるか調べた。

 録音した声の中には、地元のマサイ人の男性の声も含まれた。牛の放牧を行うマサイ人は時折、水場や放牧地をめぐってゾウと対立することがあり、まれにゾウやマサイ人男性が死ぬこともある。

 他にも、農民や国立公園の従業員が多く、ゾウにめったに危害を加えることのないカンバ人男性の声や、マサイ人の女性や少年の声をゾウに聞かせた。

 録音された声はすべて、「おい、あっちを見ろ。ゾウの群れがくるぞ」という同じフレーズを繰り返した。