水で発色、染料を用いた新しい印刷方式を開発 中国研究
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【1月29日 AFP】この「機械」は普通のプリンターと同様に白い紙を取り込み、表面に印刷を施した後に排出する──ただ大きく違うのは、インクではなく「水」を使うことだ。印刷された紙は1日以内に色があせて白紙に戻るので、再利用が可能となる。
中国・吉林大学(Jilin University)などの化学者チームが英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表した論文によると、同チームが開発した「ウォータージェット」技術は、用紙に何十回もの繰り返し印刷を可能にし、いまだに紙の印刷物に大きく依存しているデジタル世界で費用と木材を節約する選択肢の1つになるという。
研究を率いた同大の張曉安(Xiao-An Zhang)教授(化学)は「いくつかの国際的な統計によると、オフィスの印刷物の約4割は1回読まれたきりで紙くずかご行きになるとのことだ」と話す。
水を使ったプリンターの仕掛けはその「用紙」にある。用紙は目に見えない染料で処理されており、水を吹き付けられると発色し、時間がたつと色が消えるようになっている。
気温35度未満の条件で、水の蒸発により約22時間後には印刷は消える。温度が高ければ消えるまでの時間も短縮される。
設計者らによると、印刷は鮮明で、コストも安価に抑えられるという。
張教授は「再印刷を50回行ったとすると、コストはインクジェット方式のプリンターの約100分の1程度」とネイチャー誌のサイトに掲載の動画で述べている。
各用紙の再利用を十回程度にとどめたとしても、コストはインクジェットの約17分の1で済むようだ。
一般の印刷で使用される用紙に染料処理を施すことで、用紙の価格は約5%高くなるが、これはインク代を節約できることで補って余りあると同教授は指摘する。