【8月4日 MODE PRESS】アメリカの大都市がポスト消費主義の領域に加速度をつけて突入しているとしたら、もう一方の超大国の様子も気になって来る。そう、中国のことだ。猪突猛進的な経済成長の中にある中国で、政府が主導する大量生産・大量消費を基盤とした生き方へのアンチテーゼがあちこちから垣間みれるようになった。アメリカの脱・消費的価値観を代表する雑誌『キンフォーク(KINFOLK)』は、今春に中国語版を発売。また中国の様々なメディアで、「ロハス」や「スローライフ」といった言葉が散見されるようになってきた。ロハスという言葉は、日本ではある程度認知されていると思うが、改めて説明すると“Lifestyles of Health and Sustainability”の頭文字をとった造語で、健康的で持続可能なライフスタイルを意味する言葉。1998年にアメリカで提唱されたロハスの概念は、その後2004年に日本のエコ雑誌『ソトコト』が取り上げ、日本でも広がっていった。そして、その波が中国にも浸透し始めている。

 とは言え、7月22日から報じられている“期限切れ肉”のニュースでずさんな衛生管理が露見したように、多くの日本人にとって、中国に対するイメージがロハス的な思想とは程遠い印象があるはず。ただ、様々なメディアを通して、中国でも明らかに過剰な資本主義的競争の次なる価値観を模索する動きも見えている。この期限切れ肉問題が一斉に報じられる直前の7月17日から4日間、上海を訪れ、中国の次世代の消費観を作り出す5人に話を伺った。そこから見えてきたのは、経済大国中国に対するカウンター・カルチャーの萌芽と、少数派であるロハス、ポスト消費思考の人々でも13億の人口ゆえに、ビッグ・マーケットでビジネスが成立する面白さである。なにしろ人口の1%でも1300万人なのだから。