【8月15日 AFP】小さなアロマキャンドルほどの大きさのシンプルな構造のロボット1000台以上を自律移動させ、星形やアルファベットの「K」といった複雑な形状を作らせることに成功したとの研究論文が、14日の米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 このプロジェクトを成功させた米ハーバード大学(Harvard University)の研究チームは以前にも、シロアリにヒントを得たロボットを開発するなど、ロボット工学分野の発展への貢献を続けている。

「キロボット(Kilobot)」と呼ばれるこれら1024台のロボットは、ハチやアリに似た行動をするように設計されており、振動モーターを使って地面を滑走し、赤外線を用いて互いと通信する。

 ハーバード大工学・応用科学科(School of Engineering and Applied SciencesSEAS)のフレッド・カブリ(Fred Kavli)冠教授(コンピューター科学)で、同大のビース研究所(Wyss Institute for Biologically Inspired Engineering)の主要研究員でもあるラディカ・ナグパル(Radhika Nagpal)氏は「特に、各自が自己組織化し問題を解決できるようなシステムからアイデアを得ている」と話す。

 これまでの研究で使用されるロボットは全部で数十台から数百台だったが、今回のプロジェクトは、さらにロボットの数を増やした。

 ロボットはシンプルな設計なので、互いの距離が3台分以上離れると通信できなくなるが、事前にプログラムされた命令を与えれば、それ以上の介入は必要ない。

 ロボット集団が将来どのような目的で利用される可能性があるかについては、まだ不明だ。だが研究チームは、魚群やアリの大群などと似た行動を取ることで環境浄化や災害対応といった任務で社会に恩恵をもたらす日が来るかもしれないと考えている。

 論文の主執筆者で、SEASとビース研究所に所属する研究員のマイケル・ルービンスタイン(Michael Rubenstein)氏は「細胞、昆虫、動物のどれを思い浮かべてみても、生物学的集合体には個々の対応能力を超えた規模の単一任務を協力して遂行する協調集団が非常に数多く存在する」と話している。(c)AFP