【2月10日 東方新報】ブラジルなど世界の主要産地での減産の影響を受け、アラビカ種のコーヒー先物価格が米ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社インターコンチネンタル取引所(ICE)で1ポンドあたり400セントを突破し、過去最高値を更新し続けている。世界的なコーヒー供給が逼迫する中、雲南省(Yunnan)のコーヒーが注目され、新たな成長の機会を迎えている。

 国際コーヒー機関(ICO)が2024年12月に発表した報告によると、年間のコーヒー価格指数は40%上昇した。2025年に入ってからも先物価格の高騰が続いており、2月8日、雲南のコーヒー業界関係者や専門家が、同省のコーヒー産業が直面する機会と課題について語った。

 雲南省は中国国内のコーヒー栽培面積と生産量の98%以上を占め、コーヒー製品は世界40か国以上に輸出されている。2月6日には、同省のコーヒー豆の買い取り価格が1キロあたり60元(約1248円)を超えた。2024年同期の価格は33元(約686円)だったため、大幅な上昇となった。

 雲南の「曼箐農園」の創業者である張暁芸(Zhang Xiaoyun)氏は、「以前は雲南のコーヒーは安値でしか売れなかったが、今では需要が供給を上回っている。先物価格の上昇に伴い、買い取り価格も上がり、農家やコーヒー農園の収益も向上している。今後の発展に期待が持てる」と話す。

 コーヒーの栽培には長い時間がかかるため、世界の主要供給元が回復するには時間がかかる。一方で、消費需要は増え続けている。このため、雲南の業界関係者の間では、先物価格の上昇傾向がしばらく続くとの見方が強い。雲南省コーヒー業界協会の副事務局長である呉易蓉(Wu Yirong)氏は、「この影響で、これまで海外産のコーヒー豆を調達していた企業が、雲南産の豆を新たな供給源として検討し始めている。価格が適正で、品質が安定した豆を求める動きが加速している」と述べ、雲南コーヒーにとって大きなチャンスだと指摘する。

 雲南大学(Yunnan University)農学部の副教授であり、雲南省スペシャルティコーヒー学会の理事でもある何飛飛(He Feifei)氏は、「コーヒー豆の価格上昇は市場の活性化を示しており、産業の将来性も期待できる。これにより、より多くの投資がコーヒー産業に流れ込むだろう。一方で、販売競争が激化することで、ブランド構築や製品開発の強化が求められる」と述べる。また、雲南のコーヒー栽培面積には限りがあるため、今後さらに価格が上昇すれば、雲南省と周辺国とのコーヒー栽培協力が促進される可能性があるという。

 消費者が最も気にするコーヒー製品の価格について、何氏は、「雲南のコーヒー企業は、生豆の在庫管理や国内調達の割合を増やすことで価格変動に対応しようとしている。消費者の安定確保を優先し、大幅な価格調整は慎重に行われる見込みだ」と説明する。

 ただし、価格上昇によるリスクも存在する。コーヒーの現物価格が上がるにつれ、投機目的の買いだめや不適切な取引が見られるようになっている。これについて、呉易蓉氏は「雲南のコーヒー産業は成長期にあり、慎重な対応が必要だ。協会としては金融の専門家と連携し、業界関係者に先物価格の高騰を冷静に判断するよう指導し、持続可能な成長サイクルの構築を目指す」と述べた。

 また、呉氏は、「雲南は高品質なコーヒー豆の主要産地として成長しており、現在は加工技術の高度化にも力を入れている。スペシャルティコーヒー市場では、価格決定の主導権を持ちつつあり、もはや国際先物価格に左右されることはない」と語る。「私たちはスペシャルティコーヒーの方向性を維持し、業界の変化に対応しながらリスク管理を強化し、安定した成長を目指すべきだ」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News