【2月7日 CNS】中国のAI企業が開発した生成AIモデル「深度求索（DeepSeek）」は、人工知能（AI）の発展に関する世界的な議論を巻き起こしている。最近、DeepSeek-R1はChatbot Arenaの総合ランキングで3位に浮上し、OpenAIの最上位推論モデル「o1」と並んだ。また、DeepSeekのアプリは、米アップル（Apple）の中国および米国のアップストア（App Store）無料アプリダウンロードランキングで1位となり、米国ではチャットGPT（ChatGPT）を上回る人気を獲得した。

　DeepSeekは、わずか2048基のH800 GPUを用いて6710億パラメータのモデルを訓練し、トレーニング費用はオープンAI（OpenAI）のGPT-4oの10分の1以下に抑えられた。これにより、AI業界における従来の「高性能AIには膨大な計算リソースと資金が必要」という常識を覆した。さらに、「動的価値トポロジーネットワーク」という革新的な技術を導入し、AIの倫理的枠組みをモデルの基本構造に組み込むことで、「性能と安全性のトレードオフ」という業界の長年の課題を解決した。この技術的イノベーションは、まるでAIの進化という高速道路に新たなルートを開いたかのようだ。

　DeepSeekの台頭により、シリコンバレーのハイテク株が軒並み下落した。エヌビディア（Nvidia）、マイクロソフト（Microsoft）、グーグル（Google）、メタ（Meta）などのテクノロジー大手の株価は下落し、企業価値に大きな影響を与えた。また、各国のAI専門家や政策立案者からも、「DeepSeekの現象を分析し、自国のAI開発を見直す必要がある」との声が上がっている。これは、世界のイノベーション地図が多極化していることを示している。中国のAI企業が、技術基準の「受け手」から「策定者」へと変貌を遂げたことは、単なるビジネス競争の枠を超え、国際社会にも大きな影響を及ぼしている。

　では、DeepSeekはどのように「深く」探求し、この先を進んでいくのか。AI競争はすでに「マラソンの段階」に入っており、真のリーダーに必要なのは、基礎研究に対する忍耐力、エコシステム構築の持続力、グローバルな協力姿勢の三つだ。DeepSeekは現在、世界的に注目される存在となっているが、この成功を一過性のブームで終わらせず、継続的な発展へとつなげることが重要となる。

　技術面では、急速に変化するAIニーズに適応し、システム全体を進化させ続けるリーダーシップが求められる。また、市場競争が激化する中で、ユーザーの定着や新たな応用分野の開拓も不可欠だ。しかし、半導体の輸出規制やデータ主権問題といった構造的な壁が「ガラスの天井」となり、成長を阻む可能性もある。それでも、AI競争の本質は実験室や資本市場ではなく、人類が多様な価値観を持つ知能システムをいかに構築するかにかかっている。

　今後、GPT-5の登場や量子コンピューティング革命の到来が予測される中で、DeepSeekの現在の成功は、まだ序章に過ぎない。技術革新から始まったこの騒動は、やがて文明の知恵が試される舞台へと発展していくだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News