中国の春節が「世界の新年」になった理由
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【2月6日 CNS】中国は2025年1月、「春節(旧正月、Lunar New Year)」が国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の無形文化遺産に登録されてから初めての春節を迎えた。世界の約5分の1の人びとが祝うこの祭りは、なぜ文化遺産として登録されたのか?また、海外の華僑や華人は春節文化の発信にどのように貢献しているのか?
春節の無形文化遺産登録に関わったアドバイザーであり、中国民俗学会の副会長である張勃(Zhang Bo)氏によると、春節には「更新」「祈願」「迎春」「団欒」「調和」といった文化的な意味が込められており、中国民族の美意識や価値観を反映しているという。
張氏は、「春節の登録成功は、中国の新年が世界へと広がる象徴的な出来事だ。国内においては文化的自信を高め、国外においては中国文化を広める新たな視点を提供した」と述べている。春節には多くの民俗行事があるだけでなく、民間伝承や詩歌、ことわざも数多く伝わっている。今後、「春節の物語」は、中国文化を世界へと発信する重要なIP(知的財産権)となる可能性がある。
これまで、海外の華僑や華人は春節文化を世界に広める上で重要な役割を果たしてきた。彼らは春節の文化的背景を理解しつつ、各国の人びとが受け入れやすい形で伝えている。言葉だけでは伝わりにくいが、春聯(しゅんれん、中国の伝統的な正月飾りで、家の入口や壁に貼る対句形式の縁起物)、福の字、龍舞、獅子舞、水餃子、年糕(もち米の餅)などの春節の象徴を通じて、外国の人びとに春節文化を体験させ、理解を深めてもらうことができる。
春節は中国が生んだ独自の文化だが、中国だけのものではない。人びとの移動とともに、春節は世界各地へ広がり、今では約5分の1の人びとが祝う行事となっている。春節に関連する伝統行事は、世界の約200の国と地域に広がり、約20か国では国全体や一部の都市で法定祝日として定められている。
中国人は世界各地で多様な形で春節が祝われることを歓迎している。春節は、もともと固定された文化ではなく、時代や場所に応じて変化し続けるものだからだ。
歴史を振り返ると、各時代の人びとがその時代の特徴に合わせて習慣を発展させてきた。例えば、南朝時代には悪霊を追い払うために爆竹を鳴らしたが、現代では火薬を使った爆竹が新年を祝う手段となった。1980年代には賀年卡(年賀状)を送る習慣があったが、現在は微信(ウィーチャット、WeChat)で新年の挨拶をするのが一般的になっている。地域ごとにも特色があり、北京市では廟会(寺院での祭り)、広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)では花市(花の市場)、四川省(Sichuan)自貢市(Zigong)ではランタン祭りが人気だ。北方では餃子を包み、南方では糍粑(もち米で作った菓子)を作るなど、各地の自然環境や文化に応じた春節の習慣が根付いている。
このように、春節文化は常に変化し続ける。それはまさに春節の本質である「新たな周期の中で新たな希望を抱いて前へ進む」という精神を体現している。(c)CNS/JCM/AFPBB News