【11⽉1⽇ Peopleʼs Daily】ロボットアームが透明樹脂を固定すると、カッターヘッドが作動した。光が反射し水しぶきが飛び散る中で正確なパラメータに基づいてカスタマイズされた眼鏡レンズが研磨された。完成まで、わずか40秒足らずだった。

 この迅速な製作の背後には、江蘇省(Jiangsu)の丹陽市(Danyang)のレンズ産業の40年近くのたゆまぬ奮闘がある。発端は、他の地方で働いていた数人のレンズ研磨職人が戻って来たことだった。商品は駅前の露店で売った。しかし丹陽市は今や、世界最大のレンズ生産基地に発展した。眼鏡生産と関連事業を手がける企業は1600社以上あり、全国生産量の約70%、世界の生産量の約半数の年間4億組以上のレンズを生産している。

 例えば欧州からオーダーメード眼鏡の注文を受けても、納品まで1週間程度しかかからない。眼鏡の設計、生産、販売、物流を一体化した完全な産業チェーンが成立しているからだ。丹陽市は毎年1500万件以上のオーダーメードレンズの輸出に対応することができる。

 丹陽市は近年、企業の持続可能な海外市場開拓を支援するために、眼鏡企業スマート化の推進、安定雇用の支援、越境電子商取引(EC)サービス、輸出税還付などの「包括的」支援政策を打ち出した。2024年上半期の市内の眼鏡企業の貿易総額は前年同期比2.8%増の25億6600万元(約551億円)に達した。

 越境ECの発展は、市の眼鏡企業の海外顧客を大幅に増やした。2021年には丹陽眼鏡越境EC産業パークがオープンし、ますます多くの企業が越境EC輸出モデルを模索し、現在はこの産業パークで越境EC業務を手がける企業は68社に達した。

 江蘇淘鏡の胡宏梅(Hu Hongmei)副社長は、「越境ECプラットフォームにより、特注眼鏡の世界向けの独自販売を構築しました。弊社の2023年の年間売上高は6億5000万元(約140億円)で、今年上半期の輸出額は前年同期比6.54%増の4900万ドル(約75億円)超です」と述べた。

 9色に変化する調光レンズ、水に浮かぶ軽量フレーム、顔スキャンによるカスタマイズされた眼鏡、青少年の視力保護を助ける多焦点レンズなど、丹陽の眼鏡企業は製品の細かな作り込みと技術革新に注力し、新製品を積極的に独自開発している。専門デザイナーは1000人近くに達し、毎年3000点以上の新デザインを発表している。丹陽市はさらに、国家眼鏡製品品質監督検査センターと中国鎮江丹陽(眼鏡)知的財産権迅速権利保護センターを設立するなどで、品質向上を重視すると同時に革新の成果の保護に力を入れている。

 胡副社長は、「弊社は海外の消費者に、5000種類以上のフレーム、50種類以上のレンズのカスタマイズプランを提供することができます。弊社の製品は海外市場で強大な競争力を持っています。引き続き新製品の研究開発を拡大し、より多くの越境ECプラットフォームと提携し、海外市場をさらに開拓していきます」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News