【7⽉19⽇ Peopleʼs Daily】中国が月に送り込んだ嫦娥6号(Chang’e-6)の帰還機は2024年6月25日午後2時7分、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の四子王旗の予定区域に着陸した。

 嫦娥6号は打ち上げられてからの53日間で11の飛行段階を経た。月の逆行軌道への遷移、地球から見て月の裏側への着陸と土壌サンプルの収集、月面からの離陸と上昇などだ。人類が月の裏側からのサンプルリターンを実現したのは初めてだ。

 中国の宇宙開発は、政府部門として担当するのが国家航天局(CNSA)で、運搬用ロケットや宇宙船の開発や製造についての主要契約企業は中国航天科技集団(China Aerospace Science and Technology Corporation)だ。同集団傘下の中国空間技術研究院の研究者によると、嫦娥6号の帰還機は月から地球へ戻る際には速度が非常に速くなるので、途中で適切に減速させ、さらに特定の位置で大気圏に突入させる必要があった。科学者らは実現のために、誘導ナビゲーションや制御システムを開発する際に、シミュレーション飛行を大量に行った。数千万通りの飛行ルートを試すことで、嫦娥6号の順調な飛行と高精度の帰還を確保した。

 嫦娥6号の帰還機は小さいが、大気圏への再突入が極めて高速であるために、焼けつくような高温になることは避けられない。そのため、嫦娥5号(Chang’e-5)の帰還の際の経験を十分に参考にして、機体の各部分ごとに高温耐性と断熱性の基準を定めることで、安全で順調な地球への帰還を保障した。

 計画により、回収された嫦娥6号帰還機は必要な処理を終えた後に、北京に空輸されて蓋部分を開いてサンプル容器と搭載物を取り出すことになった。国家航天局は適切な時点で作業を引き継ぎ、サンプルを保管したり一部を研究関連業務を行う各組織に分配したりする。

 嫦娥6号は月の裏側に着陸したこともあり、地球との通信を保つために中継衛星の鵲橋2号(Queqiao-2)が用いられた。鵲橋2号には極紫外線カメラ、アレイ中性原子イメージング装置、地球月超長基線干渉測定試験システムなどの機器が搭載されており、適切な時期から科学探査を実施して月と深宇宙の科学データを収集する。

 嫦娥6号は欧州宇宙機関(ESA)のマイナスイオン検出器、フランスのラドンガス探知機、イタリアのレーザー反射鏡(コーナーキューブ)、パキスタンのキューブサット(立方体の形状の小型衛星)の四つの機器も搭載されたことで、国際色も豊かだった。嫦娥6号を利用した実務的で効率的な国際協力は国際社会から広く注目され、好評を得ている。

 国家航天局の張克倹(Zhang Kejian)局長は、「広大な宇宙を探査することは全人類の共通の夢であり、開放と協力こそが正しい道です。中国の宇宙事業は平等互恵、平和利用、包容的発展を土台として、引き続き心を開き、門戸を開き、国際協力の道を絶えず広げ、今後も重要なプロジェクトを実施して人類の知見を広げ、人類の幸せを増進するために努力して前進します」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News