【7⽉9⽇ Peopleʼs Daily】四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)は中国初の低空域空域協同管理改革テストエリアだ。今年の目標は低空域に関連する製造産業の規模が65億元(約1440億円)を突破し、低空域経済の全産業規模が260億元(約5780億円)に達することだ。

「春節(旧正月、Lunar New Year)期間中の食品デリバリー注文数は500件を超え、花見シーズンには毎日100回以上のフライトがありました。ソーシャルメディアでも大人気です。これほどまでとは思わなかった!」――。国家級民間自動操縦航空試験拠点の「天空の眼」を運営する四川翔彭智航科技の周小明(Zhou Xiaoming)会長はこう言った。龍門山のセン江河谷(「セン」はさんずいに「前」)奥地の白鹿鎮(Bailu)、通済鎮(Tongji)、丹景山鎮(Danjingshan)で試験運航された6路線では、料理や飲み物、さらに雑貨なども必要に応じて届けることができるという。商業地域から各観光地、民宿、キャンプ場までに要する時間は20分だ。

 成都では現在までに、素材、基礎部品、システム、完成機の製造と運営サービスなどの110社余りによる全産業チェーンが形成された。産業用ドローン産業はここ数年、年平均20%以上の成長率を維持し、2023年には産業全体での売上高が100億元(約2220億円)を突破した。総合競争力は全国でも上位だ。

 低空域経済の中で注目されているのはeVTOL、すなわち電力を動力として垂直に離着陸する「空飛ぶ自動車」とも呼ばれる航空機だ。2023年7月には沃飛長空がアジア太平洋地域最大のビジネス機企業である華竜航空から、「空飛ぶ自動車」100機を受注した。双方はビジネス航空におけるeVTOLの市場を共同で開拓する意向で、まずは成都でeVTOLによるビジネス航空のサービスを展開する意向だ。

 低空域経済が飛躍するためには、法を順守した上での秩序ある開放が前提条件だ。「天空の眼」の高度1200メートル以下、半径範囲5キロの空域では、毎日産業用ドローン企業が信号伝送や飛行などの試験を実施している。

 縦横大鵬無人機科技磁峰飛行基地の鄭文強(Zheng Wenqiang)主任は、「天空の眼」空域を利用して5年間で1万回近くの無人機試験飛行を実施した。鄭主任は、「安定した空域の時間と範囲、適した地形は、産業向け無人機の試験飛行のために必要な条件です。『天空の眼』には高山、丘陵、森林、河川、湖などを含む多様な地形があり、産業用無人機の実際の作業を最大限にシミュレーションできます」と説明した。

 四川省は七つの協同管理空域と8本の低空域目視飛行ルートを設けている。成都のほぼ3分の1の空域は四川省低空域改革試行空域の一部だ。試験飛行空域は公共財として開放されており、届け出をすればすぐに飛行できる。成都では無人機が現在までに累計800万回・60万時間以上飛行した。空域資源の利用効率は大幅に向上しつつある。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News