【6⽉26⽇ Peopleʼs Daily】中国はこのところ、貿易や金融取引についての二国間自国通貨決済の取り決めで、大きな成果を上げている。

 中国人民銀行(People's Bank of China)とインドネシア銀行は2021年9月、中国とインドネシアの自国通貨決済協力枠組みを発表した。インドネシアはベトナム、ラオス、ロシアなど9か国に続き、中国と二国間の自国通貨決済協定を結んだ「一帯一路(Belt and Road)」の共同建設国になった。中国とブラジルは2023年年初、人民元決済の協力覚書を締結した。2023年3月には、中仏企業が初の液化天然ガス越境人民元決済取引を成立させた。

 アモイ大学(Xiamen University)一帯一路研究院の蔡慶豊(Cai Qingfeng)副院長は「自国通貨建て決済を採用することで、為替プロセスを簡素化し、取引での経済面と時間面の負担を軽減でき、貿易に利便性がもたらされます。同時に、ドルの相場変動による為替リスクの回避、為替差損の減少、外貨準備の圧力緩和などのために有効です」と述べた。

 ブラジルのサンパウロ州立大学(Sao Paulo State University)経済国際研究所のマルコス・ピレス(Marcos Pires)所長は、「自国通貨決済を採用することで、ブラジル企業の、特に電気自動車(EV)、クリーンエネルギー、バイオテクノロジー、精密農業などの分野での中国の産業チェーンへの参画が後押しされます」「金融の観点から見て、自国通貨決済により(ブラジル通貨の)レアルと人民元の資本が大量に創出され、直接投資を促すことができます」と述べた。

 中国人民銀行によると、2023年の人民元建ての越境決済額は前年比24.2%増の52兆3000億元(約1150兆円)に達した。うち物品貿易については、人民元建て決済の物品貿易全体に占める割合が前年より7ポイント上昇して25%に達した。人民元建て越境決済の業務は2023年末時点で、世界の182の国と地域を対象とするに至った。

 中国人民大学(Renmin University of China)国家発展戦略研究院の鄒静嫻(Zou Jingxian)准教授は「人民元は良好な国際的信用を備えています」と述べた。中国の総合力、責任ある金融政策、安定した経済成長、そして十分な外貨準備などの多くの要素が、他国にとって人民元受け入れの「安心材料」になっているという。鄒准教授はさらに、一つの通貨が決済に広く使われるためには、高効率な決済システムが不可欠と指摘した。中国はモバイル決済やデジタル通貨などの面で世界の先頭を走る国だ。

 蔡副院長は、中国が自国通貨決済の協力を推進することは国際通貨システムの多元化の発展を後押しし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策と為替リスクが国際経済に与える衝撃を軽減すると指摘した。

 蔡副院長はさらに、「中国と関連する国や地域の自国通貨建て決済協力は、世界経済における貿易と投資の潜在力をさらに解き放ちます。自国通貨建て決済協力の推進は、中国と『一帯一路』の共同建設国の貿易や投資に有利な条件を作り出し、中国と関連地域の経済連携を強化し、地域内の投資と貿易の利便性を向上させることになります」と述べた。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News