【5月9日 AFP】欧州連合(EU)のウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)欧州委員長は8日、6月の欧州議会選を前にスキャンダルが相次いでいるドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を「祖国を独裁者に売り渡している」と非難した。続投を目指すフォンデアライエン氏は、元ドイツ国防相。

 AfDをめぐっては先月、欧州議会選の同党筆頭候補、マクシミリアン・クラー(Maximilian Krah)議員の側近が、中国のためにスパイ活動をしていた疑いで逮捕された。クラー議員自身も過去に、ロシアのプロパガンダ疑惑に巻き込まれたことがある。

 フォンデアライエン氏は、自身が所属するドイツの保守政党「キリスト教民主同盟(CDU)」の党大会でAfDについて、「振る舞いは極めて不誠実だ」「欧州議会選を前に、(ロシア大統領のウラジーミル・)プーチン(Vladimir Putin)のためにプロパガンダを広め、中国のためにスパイ活動をしている」と非難。

「AfDはまず国民と祖国について騒ぎ立て、今度は祖国を独裁者に売り渡している。自らを恥じるべきだ」

 さらに、AfDの欧州議会選での公約は雇用を破壊すると指摘し、AfDはドイツのEU離脱を軽率に論じているとも批判した。

 6月の欧州議会選では、AfDを含む欧州各国の極右政党が議席を伸ばすとみられている。

 反移民を掲げるAfDは昨年、支持率を大きく伸ばし、オラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相が所属する中道左派与党、社会民主党(SPD)を抜き、CDUに次ぐ2位に浮上した。だが、相次ぐスキャンダルを受け、支持率は低下している。(c)AFP