【5月9日 Xinhua News】中国とセルビアはここ数年、緊密な関係を維持し、全面的戦略パートナーシップの中身を日増しに充実させてきた。実務協力は実りある成果を上げ、両国民の友情の絆はさらに強まり、苦楽を共にしてきた両国の友好の道はますます広がっている。

 中国の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席は2022年2月、セルビアのブチッチ大統領と北京で会談した際、双方は戦略の連結を強化し、質の高い「一帯一路」共同建設を進め、両国の伝統的な友好をより多くの実務協力の成果に転化させていくべきだと指摘した。ハンガリー・セルビア鉄道やセルビア北部のノビサドとルマを結ぶ高速道路などの協力プロジェクトの前向きな進展を促し、中国鉄鋼大手の河鋼集団によるスメデレボ製鉄所や中国鉱業大手の紫金鉱業集団によるボール銅鉱山などのプロジェクトを通じた経済的、社会的効果の産出を進めるとした。

 インフラ事業での両国の実務協力は、すでに開通した高速鉄道や建設中の先進的な高速道路と橋を含め、セルビアのよりスピーディーで便利な交通網の構築に継続的に寄与している。

 ハンガリー・セルビア鉄道のセルビア側のノビサド-スボティツァ区間のレール敷設現場では、作業員が5分割されたレールを溶接して長さ250メートルのレールにしていた。作業員の話によると、これほど大規模な鉄道レール溶接作業はセルビアでは珍しく、地元の多くの企業が施工現場を見学に訪れ、中国企業の技術レベルに感心しているという。同鉄道プロジェクトの関係者は、中国の技術と設備は同国の複雑な運行環境に十分に適応し、地域の経済社会の発展と人々の移動に安全かつ便利で効率的な輸送サービスを提供していると語る。

 首都ベオグラードから第2の都市ノビサドまでの区間は2022年に開業した。所要時間は30分強で、セルビアを「高速鉄道時代」へと大きく前進させた。プロジェクトのセルビア側チーフエンジニア、ミラン・バノビッチ氏は、同区間の時速は従来の最高40~50キロから200キロへと質的な飛躍を遂げたと指摘する。

 中国企業はセルビアで鉄道事業だけでなく、E763高速道路やドナウ川にかかるゼムン・ボルカ橋の建設にも参加し、セルビアの迅速な道路網の建設を支援している。これらは中国企業が欧州で建設を請け負った最初の高速道路と橋でもある。

 セルビアの鉱業も中国企業の協力分野の一つだ。同国東部のボールは100年以上の歴史を誇る鉱山の街だが、十数年前は苦境に陥っていた。地元の鉱山会社は技術の遅れと管理の不足により倒産の危機にひんしていた。2018年に中国の紫金鉱業集団が同地の銅山を買収、新たな技術と管理方式を導入して地元鉱山の面目を一新させた。太陽光発電や風力発電も活用し、生態系や植生を回復させ、「グリーン(環境配慮型)鉱山」を作り上げた。同社の銅製錬所を訪問した地元メディアは、中国企業はボールに世界標準と最新の製錬技術をもたらし、持続可能な発展ができるグリーンで低炭素のボールを建設するという約束を果たしたと報じた。

 中国とセルビアの人々はここ数年、経済・貿易や文化面で緊密に交流し、伝統的な友好関係をさらに豊かにし、お互いにますます近づき、親しみを増している。

 ベオグラード中心部のクネズミロシュ通りや北西部のゼムン地区の広場周辺では、中国語表記の道路標識が見られる。歴史あるベオグラード動物園の外壁にモザイク画で描かれた動物たちの中にはジャイアントパンダの姿もある。

 セルビア国際政治経済研究所の「一帯一路」地域研究主任、カタリナ・ザキッチ氏は、セルビアの若者の間で、中国のSNSアプリを使い、中国料理を好み、中国製品を購入し、中国語を学びたがる人が増えていると指摘する。セルビアと中国のビザ相互免除や直行便運航で、両国民の交流がより便利になり、理解が一層深まるなど、はっきりとした効果が出ているという。

 同氏は両国関係の未来について、インフラやエネルギーなどの分野ではすでに良好な協力の基礎が築かれているとし、今後は電子商取引(EC)やデジタル経済などの新たな分野で実務協力が拡大し、セルビアと中国の関係は確実に新たな高みに引き上げられるだろうとの見通しを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News