【5月8日 Xinhua News】英国の国際法学者アンソニー・カーティ氏はこのほど、新華社傘下のニュースメディア「新華網」の取材に応じ「南中国海係争問題で米国がトラブルメーカーであることは歴史が証明している。中国の南沙群島と西沙群島に対する主権主張は西側の公文書に法的根拠がある」と語った。

 カーティ氏は、英仏米3カ国の法律文書の研究をもとに執筆した新著「南中国海の歴史と主権」でも同様の結論を示した。

 米国は南中国海をかき回し濁らせている

 カーティ氏は取材の中で、世界的な覇権を求め、卓越性と優位性を維持することが南中国海で紛争を引き起こす米国の真の動機だと指摘した。

 カーティ氏はアイゼンハワー元米大統領の公文書を研究した際、当時のジョン・ダレス国務長官の公文書からダグラス・マッカーサー将軍と外交官ジョージ・ケナンの会話記録を発見。記録には米国が南中国海問題に干渉する動機が示されていた。

 カーティ氏は「彼らは、米国の西側の境界は中国の東側の海岸線でなければならないというケナンの提案に基本的に同意した」と語った。

 マッカーサーは第2次世界大戦中の米国のアジアにおける軍事作戦に参加。ケナンは上級外交官として大戦後すぐに対ソ連「封じ込め」理論を提唱した。

 米国の東アジア政策について問われたカーティ氏は「米国は19世紀初頭以来『他国を上回る優位性と卓越性を持たなければならない』という信条を掲げてきた。彼らの東アジアにおける戦略は、他の大国が卓越した地位を得るのを防ぐことだ。それこそが中国を敵視する理由だ」と説明した。

 「いかなる状況においても米国は南中国海の島々が中国人の手に戻ることを容認できない。これは米国の戦略的利益に反する」とした1960年代の米国務省の記録にも言及した。

 2016年の南中国海仲裁法廷は「ハンプティ・ダンプティ」

 カーティ氏は2016年の南中国海仲裁法廷を「ハンプティ・ダンプティ」と呼び、いわゆる仲裁法廷は「相手に一杯食わせる」ために国連海洋法条約第121条を曲解したと述べた。

 「彼らは、第121条の条文や科学的な地理的記述とは逆の方法で文書を解釈した」と指摘。これらの島を岩とする解釈は地質学的にも文法的にも121条の2項と3項の信頼できる解釈ではないとし、これらはすべて仲裁法廷のでっち上げで、法廷の公正性に対する人々の疑問を引き起こしたとの見方を示した。

 中国が国際法を順守していないという米国の主張にも反論し「米国は国際司法裁判に対して何度も反発し、判決を無視してきた。主要国が中国に対抗する同盟を作ると感情を高ぶらせ『中国は国際法を守らず、国際的な裁定にも従わない』と主張した。米国自身がそうしようとしたことがないのにも関わらず」と述べた。

 南中国海諸島に対する中国の主権主張は西側の公文書が裏付けている

 英仏米3カ国の公文書に対する厳密な学術研究を通じ、カーティ氏は著書の中で、西側の公文書は南沙群島と西沙群島に対する中国の主権に歴史的証拠を提供しているとの考えを明確に示した。

 英外務省の文書に言及した際には「英国は西沙群島の帰属について1930年代から明確な立場を取っていた。清朝政府は1909年に西沙群島の領有権を主張していた」と紹介した。

 南沙群島については「英外務省はフランス外務省との緊密な協議の後に省内で議論し、1890年代以降に収集した自国やフランス、その他の国の行為に関する記録に基づき、法律的な観点から南沙群島は中国に属すると決定した」と説明した。

 カーティ氏は南中国海問題の平和的解決を呼びかけ、海洋境界は関係各方面の政府が画定すべきだと提言した。(c)Xinhua News/AFPBB News