【5月8日 CNS】中国の電子商取引(EC)大手「京東(JD.com)」の創業者、劉強東(Richard Liu)を模したAIデジタルヒューマン「采銷東哥(調達・マーケティングの劉強東)」が4月16日午後6時、京東家電・インテリアと京東スーパーマーケットのライブルームで「ライブデビュー」を果たした。彼の登場からわずか30分で、視聴者数はそれぞれ1000万人を超えた。

「現在、AI技術は多くのプラットフォームのライブルームで広く使われている」と、中国の調査会社「易観分析(Analysys)」の流通業界シニアアナリスト、陳涛(Chen Tao)氏は述べている。陳涛氏は、AIデジタルヒューマン「采銷東哥」は、京東ライブにとって短期的にはトラフィックを増やし、注目度を高めるホットスポットになり得るが、長期的な発展の主要な方向ではなく、「京東は、将来、AIを使ってプラットフォーム上の店舗やインフルエンサーに権限を与えるようになるだろう」と述べている。

 現在のライブコマース業界において、京東には、まだチャンスがあるのか?

「ライブコマースが全体のEC取引に占める割合や取引量を見ると、実はまだ大きな成長の余地が残されている」と、陳涛氏は指摘している。陳涛氏によると、ライブコマースはまだ発展途上であり、伝統的なECであれコンテンツ主導のECであれ、ライブ配信への投資は続いている。そのため、現在遅れを取っていると見られがちな京東にも、まだチャンスはある。

「以前のライブ配信の基盤がどのようなものであっても、京東にも確かにこの分野で成功する可能性はある」と、陳涛氏は述べている。

「劉強東」の直接参加がライブを盛り上げている一方で、EC業界のスーパートップライバーたちは次々とライブルームを去っている。

 今年の2月、中国版ティックトック(TikTok)の抖音(Douyin)のトップライバー、小楊哥(Xiaoyangge、ハンドルネーム:「クレイジー小楊哥」)は、初めてショート動画ライブコマースの達人TOP20から脱落し、その話題は微博(ウェイボー、Weibo)で話題の検索ワードにもなった。

 これに対し、小楊哥は3月のライブ配信で、2024年はエンターテイメントライブを増やし、ライブコマースの参加を減らすと発言した。

 また、辛巴(Xin Ba、ハンドルネーム)も「ライブ配信を一時休止し、AIを学び、2年後に新たな競争フィールドで再スタートする」と述べている。

 陳涛氏は、スーパートップライバーたちの退場はライブ配信業界の発展の自然な流れだとみている。「現在、辛巴や小楊哥などトップライバーたちはライバーのプラットフォームを発展させ、スーパートップライバーに依存するリスクを減らしつつ、より多くのライバーで構成されるプラットフォームを通じ、より広いユーザー層にリーチする戦略を取っている」。(c)CNS/JCM/AFPBB News