【5月6日 AFP】イスラエル軍は6日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)南部ラファ(Rafah)に対する地上作戦の開始を前に、ラファ東部から約10万人を退避させていると発表した。

 イスラエル軍は声明で「ラファ東部の住民に対し、拡大された人道的地域に向かうよう促す」と述べた。

 世界保健機関(WHO)によると、ラファには現在約120万人が避難している。大半は昨年10月に始まったイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマス(Hamas)の紛争で、ガザ地区内の他の場所から逃れてきた人々だという。

 イスラエル軍によるラファ侵攻が予想される中、援助団体や世界各国の指導者は警戒を強めている。

 米国のアントニー・ブリンケン(Antony Blinken)国務長官は3日、イスラエルはいまだ「危険にさらされている市民を本気で保護するための信頼に足る計画」を提示していないと指摘。そうした計画がなければ、米政府は「ラファへの大規模な軍事作戦を支持することはできない」と述べた。

 昨年10月7日のガザ紛争開始後、イスラエルはガザ北部に住むパレスチナ人に対し、ラファを含むガザ南部の「安全地帯」に移動するよう通告した。しかし、ラファも何度も空爆を受けており、パレスチナ人はガザ地区に安全な場所はないと語っている。

 イスラエル軍は今回、「ガザに流入する援助物資の増加に対応するため、マワシ(Al-Mawasi)地区の人道的地域を拡大した」と発表。報道官は記者団に対し「今朝、ラファ東部の住民を一時避難させるための作戦を開始した。ただしこれは限定的な範囲での作戦だ」と述べた。

 軍は声明で「人道的地域に一時的に移動するよう、アラビア語のポスター、SMS、電話、メディアの放送などを通じて伝えている」と付け加えた。またハマスが拘束している人質を全員帰国させるまで、「ガザのあらゆる場所で」ハマスの戦闘員を追い続けると述べた。(c)AFP