【5⽉5⽇ Peopleʼs Daily】中国・江蘇省(Jiangsu)の昆山市(Kunshan)陸家鎮(Lujia)のある麦畑では、上空をドローンが旋回していた。

 中国農業科学院長江デルタスマート農業研究院に所属する技術者の耿博健(Geng Bojian)氏は、「ここは無人農場です。面積は3840ムー(約2.56平方キロ)で、主に稲と小麦を栽培しています。昨年からビッグデータ、人工知能(AI)、自己組織通信網などを駆使して、ドローン、無人のトラクターや収穫機、スマートかんがいゲートなどを導入して、少人数管理・無人作業のスマート農業生産を構築しました」と説明した。昆山市は近年、農業のデジタル化を推進している。この無人農場もその一環だ。

 農場には「スマート田園指揮決定センター」という小さな建物がある。中では1人の若者が大きな画面を見つめていた。画面には麦畑の景色が流れ、左右の数字が絶えず変化している。ドローンを操縦しての巡回作業だった。

 耿氏は、「以前は畑を巡回するのに、何人もの人が電動バイクに乗って畑を回る必要がありました。巡回には少なくとも1時間半がかかりました。今では無人機を使って30分もあれば十分です。作物の生育状況のデータも一括収集できます」と説明した。

 畑には、小さな設備があるのが見えた。土壌の水分モニタリング装置だった。土壌の温度や水分などを記録する。土壌の湿り気が低いことを検知すると、スマートかんがいシステムが作動して、自動的にゲートを開いてかん水する。

 畑には小型気象観測所も設置されており、温度、湿度、風力、雨量などの気象データをリアルタイムで収集する。さらに、虫の状況の監視装置や胞子捕捉器などもある。

 農業会社の江蘇省農墾農業発展の職員である沈俊傑(Shen Junjie)氏は、他の同僚3人とこの無人農場の農作業を担当している。仕事の多くはデータ収集だ。指揮センターはデータに基づいて作物モデルに基づき成長状況を分析し、データベースと結び付けて意見を出して農作業を指導する。

 沈氏は「携帯電話のアプリを使えば、指揮センターからのヒントを受け取ることができ、無人農機に作業任務を送信することができます」と説明した。

 無人農機は倉庫にあった。耕播機、田植え機、植物保護機、収穫機などの大型機で、いずれも北斗ナビゲーションシステム(BDS)を搭載している。管理者がルートと作業内容を指定すれば、農機は自分で耕作地に行って作業をする。

 耿氏は、「これらは工場から出荷された時は無人農機ではありませんでした。すべて私どもの技術チームが改造したものです。今では1台1台が『妙技』を身に付けています」と説明した。この農場では、無人機器が農作業の全過程を実施している。

 耿氏は、「あと2か月もすれば、冬小麦の収穫です。農業機械が勢ぞろいして活気にあふれますよ」と、笑顔で語った。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News