【5月1日 AFP】仏首都パリを擁するイルドフランス(Ile-de-France)地域圏が、パレスチナへの支持を訴えるデモが行われたエリート養成機関、パリ政治学院(Sciences Po)への交付金支給を一時停止したことが物議を醸している。

 イスラエルの攻撃にさらされるパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への連帯を示すデモが米国の大学で広がる中、パリ政治学院でも同様の抗議行動が活発化。

 これを受け、イルドフランス地域圏のバレリー・ペクレス(Valerie Pecresse)知事は4月29日、SNSで「平穏と安全が回復されるまでパリ政治学院への交付金支給を全面停止することを決定した」と表明。「少数の過激勢力が反ユダヤ主義的な憎悪をかき立てている」と主張したほか、左派政治家が大学における緊張の高まりを利用しているとの見方を示した。

 知事の関係者がAFPに語ったところによると、今年の同地域圏から政治学院への交付金は100万ユーロ(約1億6800万円)。

 これに対し政治学院の運営幹部は30日付の仏紙ルモンドに対し、「イルドフランス地域圏は必要不可欠なパートナーであり、ペクレス氏との対話を維持していきたい」と語った。

 一方、シルビー・ルタイヨ(Sylvie Retailleau)高等教育・研究相は同日、国営テレビ・フランス2の番組で、デモの最中に「反ユダヤ主義的な発言はなかった」上、暴力行為も認められなかったとし、政府としては政治学院への交付金支給を停止する計画はないと述べた。(c)AFP