【5月1日 AFP】英国は、難民と認定しなかった亡命希望者1人をアフリカ中部ルワンダに初めて移送した。英メディアが4月30日に報じた。不法移民をルワンダに強制移送する法案は論争を呼ぶ中、先週、英議会で可決された。ただし、この男性は同法とは別の枠組みとされる。

 リシ・スナク(Rishi Sunak)首相は、年内に実施されるとみられる総選挙をにらみ、支持率で最大野党・労働党の後塵(こうじん)を拝している状況に巻き返しを図るため、不法移民対策を優先課題の一つに掲げている。

 今回の移送発表の2日後にはイングランドとウェールズでの地方選挙を控えているが、いずれも与党・保守党の大敗が予想されている。

 ルワンダに移送された移民は、難民認定申請が認められた場合は同国に在留できるが、英国に戻ることはできない。

 スナク政権は7月までに強制移送を開始するとしている。

 複数メディアによれば、4月29日に英国を出発したアフリカ出身の男性は、昨年末に難民認定申請を却下された後、4月に成立した同法とは別の任意の制度で、ルワンダの首都キガリへの移送に同意していたとされる。サン紙は、男性はキガリ行きの民間便で出国したと報じている。

 タイムズ紙が引用した政府筋の情報によると、男性は出国に同意した見返りに、最高で3000ポンド(約59万円)を受け取ることになっている。(c)AFP