【5月3日 Xinhua News】日本のエコノミスト、田代秀敏氏が28日、北京で新華社の取材に応じた。中国の質の高い発展は世界にとってプラスだとし、中国が新たな産業モデルへの転換をさらに進め、イノベーションと中国の知恵で世界経済をリードすることに期待を示した。

 5年ぶりに北京を訪れた田代氏は、中国で新技術が急速に発展している様子に驚嘆したという。ナビゲーションアプリには信号の待ち時間まで正確に表示される。市内のモデル区では自動運転のタクシーが走っているが、日本では見られない光景だ。

 「中国はかつてのように大量の労働力を集めて一気に大量生産するのではなく、新たな価値を明確に打ち出すことで、新たな経済発展モデルへの転換を図り、質の高い発展を推進している」。中国が発展を進める「新たな質の生産力(イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)」の成果を田代氏も実感している。

 中国は品質が高く値段も手頃な製品を世界に供給すると同時に、技術革新で世界を引っ張っている。田代氏によると、中国市場を獲得するためには日本企業も研究開発を加速することを迫られる。これは日本、さらには世界にとって良いことであり、大きなチャンスでもある。

 米国などが中国の新エネルギー産業に対し「生産能力過剰論」を唱えていることについては「かつての日本に対するやり方とそっくりだ」と指摘。日本では1970年代、繊維産業が米国から「過剰生産」を理由に圧迫を受けた。その後、自動車や半導体などの産業が発展し、米国の利益に影響するようになった時も、関連企業が米国から圧力を掛けられたという。

 だが中国は巨大な市場を持ち、世界の多くの国にとって最大の貿易相手国でもある。田代氏は「中国とのデカップリング(切り離し)やサプライチェーンの分断は不可能だ」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News