【5月1日 東方新報】電気自動車(EV)を始めとする新エネルギー車(NEV)の領域で中国メーカーの「生産能力過剰」が世界の市場に悪影響をおよぼしているとの見方や外圧がある。

 この問題について、中国マクロ経済研究院(Academy of Macroeconomic Research)主要研究部門の劉雪燕(Liu Xueyan)ディレクターが国営紙中国日報(China Daily)の取材に応じ「NEVにおける中国の優位性は、政府の補助金よりも、むしろ市場行動、特に十分な市場競争によってもたらされている。いわゆる過剰生産能力とは、需要の規模よりも生産能力が多すぎる状況を意味するが、新エネルギー車のような新興分野については需要そのものがまだ不確実で、需要がどこでピークを迎えるのか予測は難しい。現在の需要規模と生産能力から能力過剰かどうかを直接判断することはできない」と説明した。

 国際エネルギー機関(IEA)の報告書では、2030年の世界の電気自動車(EV)の総販売台数は4500万台に達し、23年の3倍以上、22年の4.5倍になると推定されている。

「中国のNEVの総生産量に占める輸出の比率は、韓国、米国、欧州などの国や地域と比べて、依然として著しく低い。中国の生産能力と稼働率とのバランスも妥当である。一部の西側諸国による中国の『過剰生産能力』という見方は、純粋に経済的な問題ではなく、むしろ政治的な色彩を帯びた見方といえる」、劉氏はこのように指摘する。

 実際、西側諸国の見方は、中国の先端製造業、特にEVのようなクリーンエネルギー分野に、すなわち中国と米国が厳しい競争関係にあってそして中国の競争力が強い分野に焦点が当てられているようにも見える。

 中国商務部の何亜東(He Yadong)報道官は25日の記者会見で「中国は、一部の西側諸国が提唱する中国の生産能力過剰の主張が合理的な根拠に欠け、客観的分析ではなく扇情主義的な主張であるため、明確にこれを拒否した」と述べた。

 米国のジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官は、4月上旬の中国を訪問した際「中国は世界の市場で、特に新しいグリーン産業の分野で、安価な価格で商品を氾濫させている」と発言した。

 何報道官はイエレン氏の指摘に関して「新エネルギーの場合、中国に過剰生産能力は存在せず、世界規模で言えばまだ不足している分野だ。グリーンで低炭素、環境に優しい新エネルギーの開発は世界の気候変動の緩和のために不可欠な対策である」と反論した。

 また何氏は「中国の新エネルギー産業は、手頃な価格で高品質の生産能力を提供し続け、新エネルギー製品の需要の高まりに対応している。中国の努力は、世界のグリーン開発を推進する上で重要な役割を果たしてきた。中国は、産業協力、相互利益、世界のグリーン開発の共同推進のため、市場原理に基づいて、全ての関係者とコミュニケーションをとり、適切にバランス調整を行うことを望んでいる」と強調した。

 マクロ経済研究院の劉ディレクターは「中国で発展する外国企業はますます増加している。中国は世界の利害関係者に問題を与えているのではなく、中国という超大型国内市場での多くの成長機会を提供している」という意見を述べている。(c)東方新報/AFPBB News