【2月15日 東方新報】春節(旧正月、Lunar New Year)の到来により、2月9日から12日までの4日間、東京・上野公園の噴水広場前で「ウエノデ・パンダ春節祭」が開催された。今年で2回目となるこのイベントは、東京で春節を祝う大規模なイベントで、上野地区最大の華人のイベントだ。初開催となった昨年は、3日間で国内外から15万人以上の人々がお祝いに訪れた。

 イベント初日のオープニングセレモニーでは、上野中央通り商店会の桜井正人(Masato Sakurai)会長、株式会社中国電視(China Television Japan)の劉斌(Liu Bin)社長、上野動物園(Ueno Zoo)の大橋直哉(Naoya Ohashi)園長代理、舎得酒業(SHEDE SPIRITS)マーケティング業務管理センターの朱応才(Zhu Yingcai)執行総経理、そして日本の女性歌手・愛内里菜(Rina Aiuchi)さんが順番に登壇し、お祝いのスピーチを行った。

 桜井正人会長はあいさつの中で「今年で2回目の開催となり、去年より多くの人が会場に足を運んでくれたと実感しています。春節祭が文化交流イベントとして、春祭りが末長く開催されることを願っています。また1月1日に発生した能登半島地震は誰にとっても大変つらいものでしたが、春節祭では被災地で生産された高級酒を1杯500円で販売するチャリティーセールを実施し、売上金の全額を被災地の復興に寄付します」と語った。

 劉斌総裁はスピーチの中で「昨年もこのような晴天の中で開催されましたが、あっという間に第2回の日を迎えました。会場に入ったとたんに、どの屋台からもいい香りが漂ってきました。ビールを飲む人、料理に舌鼓を打つ人、獅子舞を見る人、歌や踊りを楽しむ人たちを見て、私も皆さんと同じように幸せな気持ちになりました」と話した。

 大橋直哉園長代理は「このイベントは2回目ですが、何十年も前から開催されているように感じます。パンダのシャンシャン(香香、Xiangxiang)は中国に帰りましたが、上野動物園には他のパンダもいますので、ぜひ頻繁に会いに来てください」とあいさつした。

 舍得酒業の朱氏は「舍得酒業は、無形文化遺産である四川省(Sichuan)のパンダの故郷にある酒造メーカーです。わが社は本日、友人の皆さんのため沱牌酒(Tuopaijiu)と舍得酒(Shedejiu)をご用意しました。一杯の美酒で、平和を愛し幸福を追求する世界中の友人たちに祝福を送り、『龍のごとく力強く進み、希望に満ちた前途を目指す』ことをお祝いしましょう」と語った。

 愛内里菜さんは「今日が最後の出演になりますが、皆さまに楽しんでいただけるパフォーマンスをお届けしたいと思います。また3月1日には中国の友人の皆さまに向けて初のライブ配信を行います。皆さまがたくさんの中国文化に触れていただくことを願っています」とあいさつした。

 来賓スピーチの後、中国政府観光局東京代表処から、桜井会長、大橋園長代理、愛内里菜さんに、今年・辰年の縁起物である「春節吉祥龍」が贈呈された。また、在日中国大使館からは、3人に春節ギフトパックが贈られた。

 この春節祭で来場者が最も楽しみにしているのは無料の野外パフォーマンスだが、今年も4日間で60組近く、1000人以上が出演した。 中でも、オリコン2位という快挙を成し遂げ、紅白歌合戦にも出場、「名探偵コナン」の主題歌を7曲も歌うなど、日中両国で高い人気を誇る80年代生まれの実力派シンガー、愛内里菜さんが注目を集めた。

 屋台もまた「ウエノデ・パンダ春節祭」のイベントの目玉だ。中国と日本から40以上の屋台が集まり、バラエティーに富んだ飲食メニューを提供していた。中国料理と日本料理が混ざり合い、焼き鳥、フライドチキンステーキ、麻辣ザリガニなど、食欲をそそる料理が並んでいた。中でも「卓尚記九五ザリガニ屋台」の前では、中国の東北地区伝統の「花柄綿入れ上着」を着たスタッフが登場し、お祭りムードが会場の全員に広がった。

 また今年の春節祭会場には、日中文化交流のためのブースも15か所設置され、来場者はさまざまな交流体験をすることができた。中でも、「国家級無形文化遺産プロジェクト(広東省(Guangdong)剪紙<切り絵>)」の省代表継承者である饒宝蓮(Rao Baolian)さんのブースの前には、好奇心旺盛な人々が多く集まった。

 饒さんはハサミをまるで飛ぶように素早く動かしながら、鮮やかで生き生きとした赤い龍とコロコロと可愛らしいジャイアントパンダを切り抜き、見物客を驚かせた。彼女は自慢の切り絵を惜しげもなく観客に披露し、広東切り絵の歴史的起源や技術の伝承についての見識を紹介し、この伝統芸術について興味深く説明した。

 饒宝蓮さんのチームは今回、広東省佛山市(Foshan)からわざわざこのパンダ春節祭のために訪日した。初めて中国本土から参加したチームとなり、「上野パンダ」というブランドはブレークスルーを果たした。

「ウエノデ・パンダ春節祭」を開催する当初の思いについて、主催者は「このイベントを通じて、春節のような重要な祝日に、帰国できない在日華僑の人々が集い、一緒に祝うことができればと願ってのことです」と話していた。また「より多くの日本の友人たちが、この機会に中国の美食を味わい、中国文化を体験すること」も期待していたという。(c)東方新報/AFPBB News