【1月31日 AFP】タイの人気観光地プーケット(Phuket)で先週、ロシアやベラルーシで活動するロックバンド「Bi-2」のメンバーが拘束された。バンドはロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に批判的なことで知られており、強制送還しないよう求める声が広がっている。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は、Bi-2をめぐってはロシア外務省が「テロリズムを支援している」として非難したことがあるとし、メンバーがロシアに戻れば「迫害」を受ける恐れがあると指摘している。

 バンドは31日、公式テレグラムチャンネルに、ボーカルのリョバ(Lyova)はタイを出国し、イスラエルに向かったが、他のメンバーは今も入国管理局の収容所で80人用の雑居房に入れられていると投稿した。

 タイ当局は、適切な就労許可なく公演をしたとして、プーケットで「7、8人」が逮捕されたと認めた。強制送還される可能性もあるとしている。

 一方、警察関係者は31日、AFPに対し、現在バンコクの収容施設で「4、5人」が拘束されていると述べた。

 タイでのライブを企画したVPIイベント(VPI Event)は、必要な許可はすべて取得していたが、バンドメンバーに誤って観光ビザ(査証)が発給されたと説明した。

 また、在タイ・ロシア領事館から昨年12月以降、ライブを中止するよう圧力をかけられていたと明かした。「(バンドメンバーが)解放されるよう全力を尽くしているが、あらゆる場面でこれめまで経験したことがない圧力にさらされている」としている。

 Bi-2は2022年、ウクライナ侵攻を支持する旗が掲げられた会場で公演することを拒否。その後、複数のライブが中止になり、メンバーはロシアを離れた。

 バンドの創設メンバーの一人はプーチン政権には「嫌悪感しかない」、プーチン氏はロシアを「破壊した」などといった発言をし、政権を公に非難していた。(c)AFP