【1月4日 AFP】米政府は2日、イスラエルの閣僚2人がパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)との紛争終結後について、パレスチナ人に地区外への移住を奨励し、ユダヤ人に再入植を呼び掛けるべきだとの考えを示したことを強く非難した。

 米国務省のマシュー・ミラー(Matthew Miller)報道官は、米政府は「イスラエルのベツァレル・スモトリッチ(Bezalel Smotrich)財務相とイタマル・ベングビール(Itamar Ben Gvir)国家治安相による、パレスチナ人のガザ外への移住を奨励する最近の発言を認めない」と批判。

 さらに「こうした物言いは扇動的で無責任だ」とし、「ガザはパレスチナ人の土地であり、ハマスが支配権を失い、イスラエルを脅かすことができなくなった未来においてもそうあり続ける」という米国の立場は「明確で一貫しており、疑いの余地はない」と強調した。

 イスラエルは1967年からガザを占領し、2005年に軍と入植者を完全撤退させたが、その後もガザを封鎖している。

 ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)政権は、昨年10月7日の紛争開始以来、ガザ住民の退去やユダヤ人の再入植に関する計画を公式には示していない。

 だが、扇動的な物言いで知られるベングビール氏は1日、自らが率いる超国家主義政党「ユダヤの力」の会合で、パレスチナ人の退去とユダヤ人の再入植は「公正かつ正当、道徳的、人道的な解決策だ」と主張。「ガザ住民の世界各国への移住を奨励するプロジェクトを展開する好機だ」と語った。

 連立政権の一角を担う極右政党「宗教シオニズム」を率いるスモトリッチ氏も昨年12月31日、ユダヤ人の再入植を呼び掛け、ガザに住むパレスチナ人約240万人の退去を「奨励」すべきだと述べた。(c)AFP