【10月12日 CGTN Japanese】中国の研究チームは11日、量子計算プロトタイプ「九章3号」の構築に成功したと発表しました。「九章3号」の「ガウシアンボソンサンプリング(干渉し合う多くのボソンの確率分布の計算)」と呼ばれる量子計算の処理速度は、現在世界最速のスーパーコンピューターよりも1京倍速いということです。

 量子計算は量子力学の原理を計算に応用した新しい計算モデルです。ノーベル物理学賞受賞者でもあるリチャード・ファインマン教授が1981年に初めて量子コンピューターの構想を提起しました。「九章」の名称は、中国の戦国・秦・漢の時代(紀元前475~220年)の数学の成果をまとめた古代の算術書「九章算術」に由来します。

 中国科学技術大学の潘建偉氏が率いる研究チームは2020年、光子数が76個の量子計算プロトタイプを構築し、「九章」と名付けました。「九章」のガウシアンボソンサンプリングの処理速度は、当時最速だったスパコンの百兆倍の速さでした。同チームは2021年に、光子数が113個の「九章2号」と66量子ビットを備えた量子計算プロトタイプ「祖沖之2号」の開発にも成功しました。

 今回発表された新しい「九章3号」は初めて255個の光子に対する操作能力を実現し、計算の複雑度を大幅に高めることができました。業界で発表された最も優れたアルゴリズムによりますと、「九章3号」のガウシアンボソンサンプリングの処理速度は「九章2号」の100万倍です。「九章3号」が100万分の1秒(1マイクロ秒)内に計算できる最も複雑なサンプルを、現在世界最速のスパコンで解こうとすると、約200億年かかるということです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News