先住民女性に避妊具強制装着、損害賠償求め国を提訴 グリーンランド
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【10月3日 AFP】デンマーク領グリーンランドの先住民イヌイット(Inuit)の女性67人が2日、数十年前に子宮内避妊具(IUD)の装着を強制されたとして、国に1人30万デンマーク・クローネ(約630万円)の損害賠償を求める裁判を起こした。
グリーンランドは1953年に植民地から脱したが、依然としてデンマークの支配下にあった。
デンマーク政府による先住民に対する人口抑制策が実施された当時、IUDを強制的に装着された女性たちの多くはまだ10代だった。
デンマークの公共放送DRによると、1960~70年代にこの処置を強制された若いイヌイットの女性は約4500人に上る。
同じくIUDを強制的に装着された経験を持ち、損賠賠償訴訟を主導した心理学者のナジャ・リベルト(Naja Lyberth)氏によれば、多くの女性は避妊具を装着されていたことを知らず、グリーンランドの婦人科医らが見つけて初めて知ったという。
リベルト氏は、「政府は違法に人権を侵害し、私たちに深刻な害を与えたのは100%明らかだ」と指摘した。
昨年発足した委員会は、2025年に調査結果を公表する予定だが、原告の女性たちは早く償ってほしいと考えている。
「私たちは調査結果が出るまで待っていられない」とリベルト氏は言う。
「私たちは年を取っている。1960年代にIUDを装着された最年長の人は1940年代生まれで、もうすぐ80歳になる」「今すぐに行動を起こしたい」と訴えた。
デンマーク政府は昨年3月、1950年代に北極圏でデンマーク語を話すエリートを育成する社会実験のために家族から強制的に引き離したイヌイット6人に対し、謝罪するとともに損害賠償を支払っている。(c)AFP