【8月8日 AFP】ロシア政府は7日、9月に始まる新年度に向けて、同国軍とウクライナ侵攻を称賛する新しい歴史教科書を公開した。

 ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の下、ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は学校の歴史教育の統制を強めているが、こうした傾向は昨年のウクライナ侵攻以降、さらに加速。ウクライナ紛争は、ロシアの歴史的な使命の一環として教えられている。

 セルゲイ・クラフツォフ(Sergei Kravtsov)教育相はモスクワで行われた記者会見で、11年生(17歳)を対象にした新しい教科書を紹介。目的は「(ウクライナ侵攻の)狙いを生徒に伝える」ことにあり、「任務は非軍事化と非ナチス化だと納得してもらう」内容になっているとして、昨年2月にプーチン氏がウクライナへの侵攻を開始した際に述べた言葉を繰り返した。「9月1日からすべての学校」で使用されるという。

 新教科書の表紙には、ロシアが併合したクリミア(Crimea)半島と本土を結ぶ橋が描かれている。この橋はプーチン政権の象徴で、侵攻が始まって以来たびたび攻撃を受けている。

 クラフツォフ氏は新教科書について、「5か月弱」で執筆されたもので「(ウクライナでの)特別軍事作戦が終了し、わが国が勝利した後、補足する予定だ」と説明した。

 新教科書は1945年から21世紀までの出来事をカバー。2014年のクリミア併合でロシア兵が「平和を守った」という項目がある他、西側の制裁については1812年にロシアに遠征したフランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)より悪辣(あくらつ)だと非難する論調で書かれている。(c)AFP