【7月28日 CGTN Japanese】ネイチャー誌は27日未明、中国の科学者が率いる国際協力チームによるブラックホールに関する最新の研究成果を明らかにしました。同チームは「中国天眼」(中国南西部の貴州省に設置された口径500メートル球面電波望遠鏡、FAST)を利用して、ブラックホールを伴う有名なマイクロクエーサーGRS 1915+105に対して、時間精度の高い長期観測をしたところ、この天体には周期が約0.2秒である電波の微弱な「脈動」が存在することを発見しました。電波帯域でブラックホールの「脈動」を観測したのは世界初で、ブラックホールの電波観測と理論研究の新しい構想につながることが期待されています。

 マイクロクエーサーは銀河系内の中性子星またはブラックホールと普通の恒星からなる連星であり、中性子星またはブラックホールに降下する物質によって高温の降着円盤および相対論的ジェットを産出していることで、間欠的または長期的に変化するX線と電波放射が観測されます。このタイプの天体は、強い重力場や相対論的物理を研究する天然の宇宙実験室とされています。

 GRS 1915+105は、急速に回転するブラックホールがあることで、光速を超える速度で移動しているような見かけを示す「超光速電波噴流」が観測された有名なマイクロクエーサーであり、極端な高エネルギー物理の変化を研究できる重要な対象です。研究チームはマイクロクエーサーの相対論的ジェットの神秘的な「ベール」を解くために、2020年から2022年にかけて「中国天眼」である500メートル口径の球面電波望遠鏡(FAST)を用いて、このブラックホールに対して初めて、サンプリング時間が49マイクロ秒に達する時間精度が極めて高い電波の連続スペクトル変化の観測を行いました。そして2021年1月と2022年6月の2回の観測で、ブラックホールには脈動周期が約0.2秒の微弱な電波脈動が存在することを突き止めました。この脈動周期は不安定で、しかもほとんどの時間には観測できないため、準周期振動と呼ばれます。

 この成果は、マイクロクエーサーによる低周波電波のマイクロ秒級の準周期振動を世界で初めて観測したもので、ブラックホールシステムのこの準周期振動現象が相対論的ジェットと直接関連していることを明らかにしました。このブラックホールの電波放射脈動の発見は、天体の相対論的噴流の起源と動力学過程を緻密に明らかにする上で重要な科学的意義があり、ブラックホールの電波観測と理論研究の新しい構想につながるものと見込まれています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News