【7月6日 AFP】親ロシア派勢力が一方的に独立を宣言した2014年以降、ウクライナ軍との衝突が続いている東部ドネツク(Donetsk)州。1日平均約30回の砲撃があるという同州アウディーウカ(Avdiivka)の町には、いまだに1700人以上の住民が暮らしている。

 アウディーウカはコークス燃料の工場を中心に栄えた。この郊外の町にとどまり続けているビクトル・グロズドフさん(77)は今年4月、食料品店からの帰宅途中に道路にできた大きな穴に落ちた。AFP取材班は、穴から抜け出せずにいたグロズドフさんを見つけ、救出した。

 現在、町には電話などの連絡手段は存在していないが、AFPは地元当局の協力を得て、グロズドフさんとの再会を果たした。

 自宅アパートで取材に応じたグロズドフさんは、当時の状況について「大通りを歩いていて、穴に少しだけ近づいてみようと思った」「砲撃による穴か、爆弾による穴かは分からなかった」と説明した。

「穴の近くでつまずいてしまい、中に落ちてしまった。はい上がろうとしたが、地面がぬかるんでいて全然抜け出すことができなかった」

 地元当局者によると、町の建物はことごとく砲撃の影響を受けており、水道や電気は通っていない。それでも、いまだに1719人がここで暮らしており、住民の約6割は65歳以上だという。

 グロズドフさんの部屋の窓はすべて割れている。一つはシーツで覆われていた。ぼろぼろの壁には家族写真が飾ってある。

 ベッドの上にラジオがあり、浴室には食料の缶詰とひまわり油の瓶が置かれていた。攻撃があると浴室に身を隠し、床に伏せる時もあるとグロズドフさんは言う。