【4月21日 AFP】ルーマニア政府は20日、ヒグマの「過剰繁殖」を抑制するため、年間の捕殺目標を3倍に引き上げる法案を発表した。環境保護団体は反発している。

 環境・水利・森林省の推計によると、同国には現在7500~8000頭のヒグマが生息している。一方、クマとの遭遇による人身被害は増加傾向にあり、2016~21年には計154件が報告され、14人が死亡、158人が負傷した。

 ヒグマは、EUの「生息地指令」で保護されている生物1200種の一つ。ルーマニアは2016年にトロフィーハンティングを禁止したが、「害獣駆除」として一部の捕殺を認めてきた。

 法案では、年間の捕殺目標を昨年の140頭から426頭に引き上げる。また、プロの猟師だけでなく、愛好家による捕殺も許可する。

 バルナ・タンツォシュ(Tanczos Barna)環境・水利・森林相は「死者も、補償金の支払いも多すぎ、人身被害は増加傾向にある。人命を守ることがわれわれの責務だ」と述べた上で、「駆除」は厳格なガイドラインと監視の下で行われると説明している。タンツォシュ氏は、捕殺などによるヒグマの個体数管理を長年支持している。

 しかし、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)のルーマニア支部は法案について、「ヒグマを厳格に保護している欧州指令に準拠しておらず、ルーマニアは違反手続きに直面する可能性がある」と指摘。「クマの管理を商業狩猟によって解決しようとする皮肉な提案だ」と批判している。(c)AFP