【4月9日 AFP】エクアドル・アマゾン(Amazon)の奥深くに住む先住民コファン(Cofan)。中でも、アビエ(Avie)という集落を形成するコファン・アビエの人々は、霊界への扉を開くといわれる「アヤワスカ」を扱う名手だ。

 地元で「ヤゲ」と呼ばれるアヤワスカは、アマゾンに何千年も前から生えているつる植物「バニステリオプシス・カーピ」の抽出液で、幻覚作用を持つ。これを飲むと、健康と知恵が授かるとされている。

 コファン・アビエの全9家族は、コロンビア国境を流れる川沿いの5万5000ヘクタールという広大なジャングルに暮らしている。

 集落の長でシャーマンのイシドロ・ルシタンテさん(63)は「神はかつてこの星に住んでいた」とAFPに語った。その神が「自身の髪を1本抜き、大地に植えた。こうして知識と知恵の源泉であるヤゲが生まれた」という。

 アヤワスカは隣国ペルーでは、エクアドルよりも観光業の一部として根付いている。最近ではカプセルや煎じ薬のインターネット通販もある。だが、コファン・アビエの人々にとって、アヤワスカはビジネスではなく、自分たち同士や祖先との密接なつながりそのものだ。

 ヒーラーでもあるルシタンテさんは「ヤゲはドラッグではない。私たちを良くしてくれる薬だ」と言って、アヤワスカの商業化に反対する。「祖父は毎週ヤゲを飲んで115歳まで生きた。私たちは皆、健康だ」

 米麻薬取締局(DEA)によるとその有効成分ジメチルトリプタミン(DMT)は米国をはじめ各国で違法とされている。

 だがジャングルの中にある集落ベルメホ(Bermejo)では毎週末、オウムやヘビ、ヒョウの絵が描かれた小屋に皆が集まり、ルシタンテさんに導かれてハンモックでくつろぐ。時々、外部から訪れた人も混じる。何時間も煮出したアヤワスカを飲み、効果が現れると、「精霊」に贈る歌が始まる。