【9月15日 CGTN Japanese】新型コロナウイルスの世界的大流行が続いている中、変異種のデルタ株は勢いが最も強いウイルス株とみられています。

 中国南東部の広東省(Guangdong)広州医科大学付属第八病院の唐小平(Tang Xiaoping)教授と李鋒(Li Feng)教授が率いる研究チームは広州医科大学付属第一病院の広州呼吸健康研究院の鍾南山(Zhong Nanshan)院士と陳如沖(Chen Ruchong)教授のチームと連携して、世界で初めてデルタ株変異種の完全な感染ルートをまとめ、また、臨床症状を参考に、広東省で発生したデルタ株による感染の臨床的特徴とウイルスの動力学的な特徴を多角的にトレースしました。この研究成果はこのほど、世界的権威である医学誌の「ランセット」の姉妹媒体である「Eクリニカルメディシン」で発表されました。

 現在までの疫学調査とウイルスのPCR遺伝子検査により、広東省で5月21日から発生した新型コロナ感染症はデルタ株によるもので、明確な感染ルートが存在することが分かりました。今回の研究は初めて、その感染ルートを追跡して明確化しました。感染拡大の発端は、75歳の女性が偶然に感染した後に、家庭内の濃厚接触あるいは会食を通じて他の3人が感染したことです。研究者は感染ルートについて、「主に、直接あるいは近距離の接触による感染だった。感染の30.8%が会食時に発生しており、30.13%が家庭内、18.59%はコニュニティー、19.87%は仕事や社会生活上の接触が感染ルートだった」と分析しました。

 研究者はデルタ株の特徴について「潜伏期間が短く、感染速度が速い。潜伏期間の中央値(順位が対象全体の中央であることを示す統計上の指標)は4.7日しかなく、従来株の6.3日より明らかに短い」ことを確認し、さらにサブグループを分析した結果、重症に至らない場合には「デルタ株変異種の潜伏期間は4日で、従来株の6日間より短い」との結果を得ました。また、「デルタ株はわずか10日間で二次感染を4回繰り返す。最も速い場合には感染後24時間以内に二次感染を引き起こした」ことも判明しました。さらに、「デルタ株の感染者は従来株感染者と比べて体内に存在するウイルスが明らかに多く、PCR検査で陰性が示されるまでにかかる時間も長い」とのことです。

 デルタ株感染は、重症になる危険因子とされています。60歳以上の高齢者の感染者のグループでデルタ株感染者は、重症化の確率が従来株感染者の1.45倍で、重症化する速度も従来株の2.98倍とのことです。

 研究者はこの結果について、「デルタ株の潜伏期間が短く、感染速度が速く、ウイルス量が多く、PCR検査の結果が陰性になるまでに時間がかかり、より重症化しやすいなどの特徴が明らかになった」との認識を示しました。したがって「感染ルートの迅速な追跡、即時隔離と感染者の迅速な発見」「重点場所に対する適時管理と特殊な状況における局地の全員を対象とするPCR検査の実施」が非常に重要になります。

 広東省で進められてきた「一刻も早く感染源を発見し、感染ルートを遮断する」という対策は、全国でデルタ株を予防と抑制するための「広州経験」となっています。(c)CGTN Japanese/AFPBB News