■「飾らない人」

 作業場では、数十人の従業員が三つの大部屋で働いている。換気は天井ファン任せだ。

 全て旧式のシンガー(Singer)のミシンで手作業。パテオ氏は、デザイナー、縫い手、アイロン職人の間を回って仕事ぶりをチェックし、アドバイスを与える。

 レオン・ウエドラオゴ(Leon Ouedraogo)さん(オーナーと血縁なし)は40年、パテオ氏と仕事を共にし、今では作業場を率いている。

 創業者を称して「飾らない人です。話しかけやすく、時間をかけて人の言葉に耳を貸し、説明してくれる人です」と述べた。

 パテオ氏は、別な作業所で染められた手の込んだ模様の布地を披露してくれた。中には独特なしま柄をしたブルキナファソの伝統織物「ファソ・ダンファニ(Faso Danfani)」もあった。

■「誇りを与えてくれた」

「毎日創り続け、お客さまを驚かさないといけません。皆、新しいものを求めています」とパテオ氏は語る。

 路上でインスピレーションを受けることもある。例えば、色とりどりの服とスカーフをまとって市場に向かう女性などからだ。

 コートジボワールのデザイナー、ジル・トゥーレ(Gilles Toure)氏は、恩師のパテオ氏が「アフリカの布をまとうことに誇りを与えてくれた」と称賛する。

 パテオ氏自身は、これまでの成功や国際的な名声を生かし、アフリカのファッション産業に対する敬意を勝ち取る「闘い」を進める覚悟だ。ファッションはアフリカ大陸の発展を促す主要な経済分野だと考えている。

 同氏の店「メゾン・パテオ(Maison Pathe’O)」は、トレンディーなココディ(Cocody)地区にモダンで大きな新本社ビルを建てたばかりだ。ここにはパテオ氏の名を冠した財団も置かれている。目的は「新世代のアフリカのクリエーターを生み出すこと」だという。

 映像は5月26、29、31日撮影。(c)AFP/David ESNAULT