【5月16日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は15日、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で市民の犠牲が増えていることに「失望」し、イスラエルが空爆で国際報道機関が入る建物を標的としたことに「深く動揺している」と発表した。グテレス氏の報道官が記者の質問への回答で明らかにした。

 ガザ地区では15日、イスラエル軍による空爆で一緒に暮らしていた親族10人が死亡し、カタールに本拠地を置く衛星放送アルジャジーラ(Al-Jazeera)とAP通信(Associated Press)の支局が入った13階建てビルが倒壊。パレスチナの武装勢力は報復としてイスラエル側にロケット弾を連射した。

 グテレス事務総長の報道官ステファン・ドゥジャリク(Stephane Dujarric)氏は記者会見で読み上げた書面でイスラエルによるシャティ(Shati)難民キャンプへの攻撃に言及し、「(ガザを実効支配するイスラム原理主義組織)ハマス(Hamas)の指導者を標的にしたとされる空爆の結果、子どもを含む親族10人をはじめ犠牲者の数が増えていることに事務総長は失望している」と発言。「事務総長は全当事者に対し、市民やメディアを無差別に攻撃することは国際法違反であり、何としてでも回避されなければならないと呼び掛ける」と述べた。

 イスラエル側によるガザ地区への空爆や砲撃は10日から続いており、保健当局によれば41人の子どもを含む145人が死亡、1100人が負傷した。交戦は2014年以降で最悪の規模となっている。

 パレスチナの武装勢力はイスラエルに向けて少なくとも2300発のロケット弾を発射し、子どもと兵士を含む10人が死亡、560人が負傷した。ロケット弾の多くがイスラエルの防空システムにより迎撃されている。(c)AFP