【1月15日 AFP】イエメンの反政府武装勢力フーシ派(Huthi)を米国が「テロ組織」に指定したことを受けて、国連(UN)高官らは14日、安全保障理事会(UN Security Council)に対し、深刻な飢饉(ききん)を回避するために、米国はこの決定を撤回すべきだと訴えた。

 米国によるフーシ派のテロ組織指定は、内戦が続くイエメンの人道危機がさらに悪化する恐れがあるとして、人道支援団体や欧州連合(EU)をはじめ、多方面から非難されている。

 国連のマーク・ローコック(Mark Lowcock)国連事務次長(人道問題担当)は、「起こり得る人道上の影響は何か。その答えは、過去40年近く起きていなかった規模の大飢饉だ」と警鐘を鳴らした。

 米国は人道支援団体による物資の配給を例外的に許可することを提案しているが、飢饉を回避するには不十分だとローコック氏は指摘。

 支援団体は先に、同国北部で事実上政府の役割を担っているフーシ派と協力するより他に手はないとしていた。

 テロ組織指定後は米国からの処罰を避けるため、フーシ派の当局との取引の多くが停止するとみられている。これには医療従事者らの給与や、食料や燃料の費用の送金も含まれる。

 国連は、イエメンでは今年約1600万人が飢えに直面すると推測している。(c)AFP/Philippe RATER