シリア・イドリブ攻勢で戦争犯罪 国連調査委が結論
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【7月8日 AFP】国連(UN)のシリアに関する独立国際調査委員会(COI)は7日、同国反体制派が掌握する北西部イドリブ(Idlib)県をめぐる戦闘で戦争犯罪があり、人道に対する罪が犯された可能性もあるとの報告書を発表した。
同委員会は、政府軍側の部隊が昨年末、反体制派最後の拠点に対して開始した攻勢の最中、人々は「計り知れない苦しみ」に耐えたと指摘。パウロ・ピネイロ(Paulo Pinheiro)委員長は「子どもは学校で砲撃を受け、親は市場で砲撃を受け、患者は病院で砲撃を受け、逃げている最中にも家族全員が爆撃を受けた」と述べた。
ロシアの支援を受けるシリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)政権は昨年12月、イスラム過激派組織「タハリール・アルシャーム機構(HTS)」が支配するイドリブ地域に対する攻勢を再開。今年3月初め、反体制派を支援するトルコとロシアの合意により、同地域は停戦に入った。
国連によると、この攻勢により100万人が避難を余儀なくされ、民間人500人以上が死亡した。
29ページにわたる報告書は昨年11月1日から今年6月1日までの期間を調査対象とした。この期間内に、さまざまな勢力による攻撃で民間人が犠牲となったり、民間のインフラに被害をもたらしたりした事例は52件あり、被害を受けた建物の種類は病院や医療施設が17件、学校が14件、市場が9件、住宅が12件だった。
同委員会はシリア内戦に関わる全ての勢力に対し、民間人への攻撃をやめるよう要求。また各国に対し、報告された犯罪行為の責任を追及するよう求めた。(c)AFP