■ユーチューブのファンは35万人

 森さんはゲーム界の新参者ではない。約40年前に趣味でゲームを始めて以来、約200タイトルをプレーしてきた。最初に使ったのは、子どもがはまっていた家庭用ゲーム機「カセットビジョン(Cassette Vision)」だった。「面白いことが世の中にあるんだなあって思ってね。その時に気づきました」

 それからというもの、「スーパーマリオブラザーズ(Super Mario Brothers)」「ドラゴンクエスト(Dragon Quest)」「ファイナルファンタジー(Final Fantasy)」「コール オブ デューティ」などゲーム界の大ヒット作の大半をプレーしてきた森さんは、夢中になると深夜2時まで起きていることもあるという。「自分で思うように自由にできるところが魅力」だというゲームが「生きがい」になっている。

 普段は家で一人でプレーしている森さんだが、他のゲーマーたちとつながるために2014年にユーチューブ・チャンネル「ゲーマーグランマ(Gamer Grandma)」を開始した。ゲームをフィーチャーしたコンテンツだけでなく、日常生活を紹介するコンテンツも含めて月に3~4回、孫が撮影した新しい動画を投稿しており、35万人のファンを引きつけ、数百万回の再生回数を誇っている。

「一人でやるよりも、みんなに見てもらったほうが、なんか、反応があって、面白いですからね」と森さんはいう。

 森さんは90歳になった今も元気に戦っているが、最先端のゲームの中には俊敏な手の動きを必要とするものがあり、それが難しいという。「難しくなりましたね。本当に難しいです」と言いながら森さんは、ゲームの準備運動として毎日やっている手指の体操を説明してくれた。

■何かやるということ

 けれど、諦める気持ちは森さんには一切ない。「いろいろなこと、進んでやっています。難しいからって、拒否しないで。何もしないよりはいい」「ゲームじゃなくってもいいんじゃないですか。何かやるということはいいと思いますよ」。森さんは80歳になるまでは定期的に水泳もしていた。編み物は今もやっている。

 今の森さんが心待ちにしているのは、今年後半とされている「プレイステーション5(PlayStation 5)」の発売だ。「これは悩みの種ですよ。本当に欲しいんですよ」 (c)AFP/Shingo ITO